ニュースレター
主宰:川津商事株式会社
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名古屋駅前のフロントはどこになるか?
〈2014年 2月15日〉
表題の件はエリアのフロントの問題である。弊社ではこのテーマを
エリアマネジメントの重要な問題と位置づけている。例えば松坂屋
の正面を例にとると解りやすい。栄のフロントはどこか?松坂屋の
フロントは大津通り側か?久屋大通側か?時代によってその答えが
異なり、又世代によっても異なり、住む地域の人にも異なる。松坂
屋の意向に関係なく、今でも大津通り側と言う人と久屋大通り側と
言う人に分かれるだろう。
さて2015年以降の名古屋駅前の大型高層商業施設の登場に向けて、
名古屋駅前のフロントはどこになるのであろうか?この問題はどこ
になるのであろうかではなく、本来ここと言う所があり、それに対
して様々な都市インフラを整備しなくてはならないが、現実に大資
本による市場原理に名古屋駅前のエリアマネジメントがゆだねられ
ているのが現実であり、市場の趨勢により良い意味でも悪い意味で
もフロントが流動的である。
現在の名古屋駅前エリアのフロントは、名古屋駅の構内、JR高島屋
の時計台前だろうか。何らかの目的を持って集まりやすいポイント
と言えよう。フロントとなるためには、関係性が交差し、目的が共
有しやすく、シンボルがあり、アクセスタビリティーがありそして
有効なスペース等のユーティリティー性が必要になる。
以前このニュースレターで、名鉄グループの再開発において、名鉄
名古屋駅の地上部分をユーティリティースペースとして空間を作っ
ては、と言ってきた事がある。空間を作ることは再開発の占有面積
を減らし収益を無視していることになるが、もしそれによって名古
屋駅前のフロントが名鉄エリア内にできれば、名鉄は未曾有の関係
性の価値を享受出来る。
これはエリア戦略である。名鉄が今後リニアと三河地方の関係性を
強化する有効な交通手段となれば、その名鉄名古屋駅の正面が名古
屋駅前エリアのフロントになっても全く問題はない。エリアのフロ
ントと言うのはそれくらい重要なエリアマネジメントの要である。
さて現在公表されている名古屋駅前の2015年から完成する大型高
層商業施設のパースを見てみると、まずJRの新しいビルと郵貯の新
しいビルが2階のデッキで貫通する。現名駅一丁目計画つまり郵貯
のビルは名古屋で本格的なSクラスのオフィスビルである。この規
模の新築でCASBEEのSクラスを持つのは名古屋では唯一無二の物に
なる。名古屋のオフィス市場が健全であるならば一流の企業の支店
で満室になるはずである。
JRのツインタワーズに隣接する名古屋駅新ビルは高島屋等の物販、
ホテル、オフィスビルが入る多様性ある商業施設となる。これら二
つの商業施設を貫通する2階デッキとグランドとのアクセスの拠点
になるところが、以前の松坂屋百貨店名古屋駅店の玄関になってい
た角地である。
この角地は正面の大名古屋ビルからのメインの導線である横断歩道
が伸びており、ユニモールなどの地下からの出口をもあり、今後重
要な交流点となることが予想される。ここに十分なユーティリティ
ー性とシンボルができれば、新しいフロントになる可能性は十分に
ある。
しかし現在公表されている名古屋駅新ビル計画のパースを見る限り
ユーティリティースペースは少ない。むしろ人があふれて道路には
み出る心配も懸念されるくらいだ。スペースが無いのは都心部の宿
命であって、ない物ねだりでもある。
現在、日本中を探しても、栄のようなレベルの高い商業集積エリア
で十分なユーティリティースペースを持っている所はめったにない。
これに対して、最近のユーティリティースペースの傾向としては、
建物内に十分な空間を確保する事が求められている。
名古屋で言えば栄のラシックである。大阪の梅田の勝ち組となった
阪急百貨店の再開発においても地下からのアクセス、或いは空中階
に十分な吹き抜けの空間を設けてユーティリティー性とアクセスタ
ビリティーを高め回遊をスムーズにさせている。
現在の名古屋駅コンコース内のJR高島屋の時計台広場もこのタイ
プのユーティリティースペースである。
2015年以降の大型プロジェクト群で興味があるのが、三菱地所の大
名古屋ビルの再開発である。施設内に1000台余りの駐輪場をできる
ようだ。名古屋駅前エリアの自転車の回遊性がどの様にできて、そ
れがどのような効果をもたらすかか考える上で面白い。2000平米の
屋上庭園が併設される。環境性に強い配慮が感じられる。
ヨーロッパの各都市では、都市の回遊性を高めるためにレンタルサ
イクルの設置がが急増している。特に観光都市において有効に機能
いているように見える。きれいな統一感のあるレンタルサイクルを
見ると便利そうで、どうやったら借りれるのだろうかを興味がそそ
られる。
現在ある桜通り等の路面の駐輪場に、もし、もしレンタルサイクル
が設置されれば、自分の自転車で遠方よりやってきて、駐輪場に駐
輪してレンタルサイクルに乗り換え、エリアを回遊するパーク&ラ
イドのモデルが完成する。これは特に観光都市、エコ都市の強力な
武器となる。
現在、京都にグローバル市場のシティーホテルが集結しつつある。
名古屋駅は現状通過点でしかない。昇龍道構想もますます名古屋が
通過点でしかなくなると言う批判も聞く。まずは通過のトランジッ
ト時間を利用して、名古屋を観光してもらうモデルから始めること
も重要である。
いずれにしても、今後登場する名駅一丁目計画15年11月、DN
計画(15年10月)、名古屋駅新ビル(JRゲートタワー)計画(16年オフィス、
百貨店ホテルは17年)の3つで、階数合計132階、総面積600,000
平米弱の新たなスペースが供給される。そこに就業する人、新たに
来場する人を30平米に一人で計算しても、おそらく万単位の新た
な人口動態が見込まれる。
これを受け入れれるだけの、新たな社会基盤整備も当然求められる。
更にこの新たな人口動態は、それに付随する衣食住のビジネスチャ
ンスが名古屋駅前エリアを中心に波及していく。名古屋経済圏の勢
力図を更の大きく変える可能性がある。そのシンボルとなるフロン
トを明確にすることはエリア戦略上重要なポイントである。
以上
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