ワインや料理を楽しむためのマナー、豆知識を紹介します。

グラスの話1

 

 

 

 

ビール紀行

 

ビールはその時代の文化、気候を反映します。

 

もう10年以上も前になります。

シカゴで最もよく見かけたのがミラービールです。もちろんバドワイザー等もあったのですが、特にミラービールライトが流行っていました。ダイエットがブームになっており、ベジタリアンが急増していた時期です。ただバドワイザーにしてもそうですが、ミラーライトは単純に軽いだけという感じで、本来のビールのコクがなか味わえないし、のどごしも足りない気がしました。しかし当時シカゴの大リーグホワイトソックスの試合を見たとき、非常に乾燥した心地よい8月の夕方のボールパークでミラーライトの軽さが実に良くあっていました。バドワイザーの本拠地セントルイスでは飲んだ事が無いのですが、おそらくその地域気候で飲めばあのバドワイザーのよさがあるのだろうなという気になりました。

 

ヨーロッパのドイツは云わずも知れたビールの名所でもあります。銘柄でもピルスナーなど非常に多くのビール銘柄が存在しています。ドイツでは生ビールの事をファスビール・Bier von Fass (ビア フォン ファス)と呼んでいます。ファスは樽を意味します。日本でも飲食店に行くとビールサーバーの中にビールを詰めたアルミ製の容器が入っていますが、これがやはり樽の形をしています。昔から生ビールを樽に入れて保存し、樽だしが生ビールを意味していたからです。このドイツでは大きなビヤホール、或いは屋外の公園などでオープンビヤガーデンが開かれていて、生ビールが大変親しまれています。そもそもドイツでは日本のようにエアコンがいきわたっているわけではありません。特に古い車などではエアコンはほとんど装備されていません。気候が違うからです。このドイツの生ビールの特徴は日本のようにキンキンには冷えてはいません。ましてやビールジョッキを日本のように凍らせて出すなんて事はありません。やはり炭酸も柔らかい感じがします。しかしドイツで飲むビールは非常にうまいビールです。これもやはり当地の気候に非常にマッチしています。ヨーロッパ大陸中部のからっとした天気では、それ程ノドごしがきつくない方が飲みやすくおいしく感じられます。又大変多くの量を飲むことも出来ます。キンキンに冷えているわけではないのですから時間をかけて1リットルジョッキーで何杯も飲めるわけです。よくドイツのお土産様のビールジョッキで蓋が付いた陶器のジョッキを見かけます。時間をかけてゆっくり飲む習慣があるわけです。日本のように高温多湿の気候では直ぐに気が抜けてしまってまずくなってしまいます。

 

アサヒのスーパードライが登場した時、コク、キレがあるビールとして話題になっていました。このようなビールが生まれたのも、高温多湿の日本の夏ではキンキンに冷やして飲む必要があり、ドイツのようなやさしいビールでは「なまぬるく」、「気が抜けた」ような感じがして、もっとアルコール度を高めてノドごしを命とするようなニーズがあったからこそと考えます。日本の気候では又違ったビールニーズがあったわけです。

 

  ニューヨークのビール紀行

マンハッタンのカフェ、バーで見かけるビールサーバーのグリル(取っ手)の銘柄はBUD LIGHT、バドワイザードラフト、サミュエルアダムス・ボストンラガー、ブルックリンラガーそしてギネスです。グリルはないのですがやはりヒスパニックの国でありコロナビールは当然おいてありました。これらのビールはこの順番に色が濃くなっている。この濃い色を楽しむためにも是非上等なバカラのビールタンブラーで飲んでもらいたい。バカラ ビアタンブラー、ビアグラス特にサミュエルアダムス・ボストンラガー以降は「色付き」と表現していたほど濃い色をしています。BUD LIGHTは殆んどビールの味がしないといっても言い過ぎではない。しかし飲んでいるとなんとなくアルコールが回ってくる感じがする。グラスに注いだときに当然向こうが透けて見えるくらいのイエローに近いきれいな金色である。バドワイザーは昔の缶ビールの軽いイメージは無い。ドラフト(生ビール)だからかもしれないがうまみがありいける。失礼ながら見直してしまった。サミュエルアダムス・ボストンラガーはボストンのビールである。サミュエルアダムス・ボストンラガーのライトがサムと言う愛称で飲まれていた。ブルックリンラガーはNYのダウンタウンの象徴である。ブルックリンにあるワイナリーがファクトリーパークになっており、行くといっぱいビールが飲めるとのことである。NYを離れデトロイトなどにいくとみかけない。ブルックリンはサミュエルアダムス・ボストンラガーに似ているがもう少し濃いような感じがする。ノドに残る香りが軽いニコチンに似たものがある。ニューヨークを代表するJAZZバー・バードランドのカウンターで静かなブルースを聴きながら飲むと確かにうまい。タバコが吸えないニューヨークでのタバコとJAZZと酒のマリアージュなのかもしれない。「私はサムしか飲まないよ」といっている人は、私はアッパーの人間だからブルックリンラガーなんて飲まないよといっているようにも聞こえる。ケネディー空港にはブルックリンビアーのバーが有る。ニーヨークのとの別れを惜しんで一口。

 

しかし10年前と違って7月のマンハッタンは暑い。フライパンの中に居るような猛暑である。何処の都市もヒートアイランド状態である。量を求めるとライトになるのかもしれない。

 

2006716日ヤンキースのマリアーノリベラが400セーブのマイルストーンを達成。

相手は井口が2番に座る前年ワールドチャンピオンのシカゴホワイトソックスである。ヤンキースは初回からジータ、A・ロッドがアベックホームランでテンションが高い。2点リードの8回表シカゴのランナーが2人出たところでトーリー監督登場。一瞬の静寂にマリアーノリベラのテーマ曲「サンドマン」が流れると、絶叫のボールパークとなる。熱い。9回表井口がそのリベラからフェンス直撃のダブルを放つ。さらに熱い。小瓶のわりには口が非常に大きなBUDRIGHTをわしづかみにしてがぶ飲みしたくなるのは確かにしかり。

最後はフランクシナトラのニューヨーク・ニューヨークを聞きながら鉄道の高架下を歩いてsubwayへ。今は無きかつてのヤンキースタジアムの思い出である。

 

その国の気候、文化とともにビール。

 

参考

 

https://www.budlight.com/pp_popup.html

https://www.budweiser.com/default.asp

https://www.brooklynbrewery.com/home/

https://www.samueladams.com/verification/

https://homepage3.nifty.com/NLbeer/B_OTHER/beerOTHER_USA.html




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