コラム/テイスティングの話

ワインや料理を楽しむためのマナー、豆知識を紹介します。

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テイスティングの話

 

◆導入◆

場所はおしゃれな高級レストランです。着席してまずアペリティフ(食前酒)を注文いたします。そしてアペリティフが来たときに料理とワインを注文するのが普通でしょうか。ワインのお好きな方は料理のメニューなぞ、一瞥したくらいで、ワインリストに首っ丈なんて事も多々あるでしょう。アペリティフを飲み終えて頃合いを見計らったようにソムリエがワインを厳かに登場させます。テーブルの脇で決して会話を遮ることなくワインの栓を抜き、準備します。そこでソムリエはホスト役をめざとく品定めをして、おもむろにテイスティンググラスを差し出します。

果たしてテイスティングの始まりです。アペリティフを飲み終えて、ちょっときつめのアルコールがお腹に落ち着き、さあテーブルクラブの始まりです。会話が盛り上がりかけています。会話の主導権を握った誰かの話に皆の注目が集まったタイミングを目ざとく見つけ、さりげなくテイスティンググラスの脚を持ち、鼻もとに近づけ香りだけを確認して、ソムリエに軽く会釈をする。これもテイスティングの一つです。まさに脇役に徹したワインが盛り上がった話題に花を添えることでしょう。或いは、話の盛り上がりかけた最中にテイスティンググラスを持ち上げ、まずは色をじっくり吟味いたします。赤ワインであれば白いテーブルクロスの上に仰々しく持っていき、白ワインであれば目の高さまで持ち上げ、テーブルの他の仲間の視線を一気に引きつけます。じっくり固まったようにグラスを見つめ、おもむろに皆の視線を糸を引くように引っ張って、鼻もとに持っていき、香りを確かめます。

ここまで来ればそれまで盛上がっていた話題は漫ろもどろ。皆さんの関心はワインに向いていることでしょう。そして口の中にワインを含みじっくりと舌の上で転がし、苦味、酸味、塩味、甘味をすべて確認をし飲み干します。そして口を真一文字にして余韻を楽しみます。テーブルに着いている紳士淑女を問わず、皆がテイスティングしている方の口元から喉元を見つめ、今ワインが何処通過しているかを想像しています。皆のワインに対する期待は一気に膨らみ、それまでの話題は当の昔に何処へやら。ソムリエにどうぞ始めてくださいと合図をする間に、フライング気味の方は「どう、まだ若いんじゃない」などと口にお出しになりません様に。すでに今やテーブルの主役がワインになっています。これもまたワインを楽しむテイスティングの一つです。さあ皆さんでワインのテイスティングでテーブルクラブを演出しましょう。



ワインテイストは主に4つのカテゴリーに分かれます。第1に外観、第2に香り、第3が味、そして最後に結果です。ソムリエの澤田和歌子さんに説明をしてもらいましょう。




◆第1:外観◆


外観には生澄度、濃度、色を見ます。まず樽から出され、瓶詰めされた白ワインは何の濁りもあってはならない。それに比べて、普通赤ワインはボトルの中年を重ねる毎にでオリが出ます。普通6年くらいからでます。オリは飲んでもかまいませんが普通デキャンタに移してオリを別にします。ワインを静かに運ぶのはオリが混ざらないようにすることがこつです。グラスのステム(足)を持って目線まで持ち上げます。透明度を確認します。液体が輝いていますか。変なくもりが無いか、再発酵の泡などが出てないかチェックしましょう。

色を見るこつは、ワインのタイプと年齢にふさわしい色を見ることです。当然色々なワインの色を見る経験が問われます。ワインは熟成が進むにつれて赤から赤褐色に変化します。一般に若いワインの紫、バーガンディー、ボルドーでも若いワインをルビー、そしてボルドーの赤、オレンジがかった赤、赤茶、褐色と変わっていきます。白ワインは薄い緑がかかった黄から濃い黄色、濃い琥珀色、褐色に色が進みます。



グラスを傾けてワインの足(涙)を見てみましょう。ワイングラスの表面を滑る液だれのことです。鉛を含んだクリスタルガラス面で一番良く表現されると言われます。足の盛り上がり、流れ落ちる速さを見て粘性、濃厚さが楽しめたら大したものです。グラスを傾けたときのワインの中央の色と端の色の変化のチェックも忘れずに。



◆第2:香り◆


まず何もせずそのままグラスを鼻に持っていき香りを確かめます。葡萄そのものの香りのアロマを言います。


次ぎにグラスの足を軽く持ち強くスワーリング(回転、攪拌)をします。ワインの液面いっぱいに空気に触れさせるようにして、香りをかぎます。まず不愉快な香りがないかを確認して下さい。スワーリングには香りの汚れを飛ばす意味も有ります。経験を積めばワインの年齢を判断することもできます。先ほどのアロマとは違う成熟した香りのブーケが楽しめます。いろんな香りが複雑に絡み合っているのが解りますか。



◆第3:味◆


色、生澄、香りですでにいろんなイメージが出来ています。最終確認を味覚で行います。ワインの味を表現すると、辛口甘口、酸味、ボディー(重み)、タンニン、刺激、バランス(調和)、フィニッシュ(余韻)等々があります。そのときに感じた直感を表現して楽しみましょう。「なかなかエレガントな味ですね!」とか。



◆第4:結論◆

結論はあなた自身の思い出にしまって下さい。



 


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