●相談9
固定資産税について教えて下さい。
答え
固定資産税は土地や家屋を所有しているとかかってくる税金です。地方税ですからその
まま地方自治体の財源となります、地域によっては都市計画税と併用されます。
税率は固定資産税が1.4/100、都市計画税が0.3/100です。
この基礎となる評価額が固定資産評価額であり、市町村の土地課税台帳に載っている評
価額を指します。そしてこの評価額が時として不動産取得税、或いは相続税の算定の基
準になることもあります。
ではこの固定資産税は誰が決めているのでしょうか。
地方自治体(総務省の指揮下)が取りまとめ作成いています。
算定に当たっては自治体から委託を受けた専門家(不動産鑑定士)によってなされた固定資産税の路線毎に評価を基に決定されます。
このような表現をすると、行政を非難しているように見えるかもしれません。
しかし現実に固定資産税評価の縦覧に行くと、
これは本局の支持でやっていますからとか、
本局に聞きに行けばこれは総務省の支持でやっていますから、
われわれにどうすることもできませんという答弁しか出てきません。
都合のいいところで責任の擦り付け合いをよく聞かされました。
いまこの固定資産税が非常に大きな負担となっている中で、
どこの誰が明確に説明できるのかという問題が、
かえって固定資産税そのものに対する不信感になっています。
この問題の背景には、単位自治体担当者の問題だけでなく、
固定資産税が国の財政政策の大きな収入源になる過ぎている点、
景気対策の政策ツール、そして何よりも地価の決定制度対する信頼性等の問題が複雑に絡み合っていることにある。
しかし最近問題になっているのは、やはり地価が下がり続けているにもかかわらず、高額を維持し続けている現状です。
収益価格への変更とかいわれていますが経済行為に対して非常に大きな負担となっているのも事実です。
相続税の路線価、固定資産税の路線価、公示価格の関係を見てみると、
平成4年から相続税の路線価
は公示価格の80%、平成6年から固定資産税の路線価は公示価格の70%に付されることになって
います。これは公示価格に連動して公示価格が下がれば固定資産税も下がる事を意味します。
実際には負担調整率等の適用により、公示価格が下がっても固定資産税はまだ上がる事が起きています。
固定資産税の問題はその背景にある地方財政の問題を向きに考える事が出来ません。
しかしこの問題は本来の不動産の保有に課税する税のコンセプトを著しく硬直化させています。
固定資産税の評価替えは3年毎に行われますが、毎年4月に固定資産台帳の縦覧期間が
あります。必ず役所に出向いて、評価の仕方について説明を受ける事が重要でしょう。
不服審判に申したてるのは評価です。原則3年ごとに行われる評価に対してしなければなりません。
商業地など非住宅用地にかかる固定資産税収総額を土地資産額(国民経済計算ベース)
で割った実効税率は、バブル当時の平成2年から上昇し続き、平成12年は0.57%になている。
一方で、その土地からあがる収益であるビル賃料は限られた優良物件を除き低下している。
不動産投資として魅力がなくなりつつある事を示している。
参考記事:2002/03/12 日本経済新聞 朝刊
負担調整率
それまで固定資産税は実勢価格(地下公示価格,下記図A)の2−3割の額を固定資産税評価として、
これにそれぞれの特例を配慮して税率をかけていました。
平成6年にこの実勢価格の2−3割を7割(下記図B)
まで引き上げることを自治省が決め、通達で各自治体に流しました。この割合の決定権は行政の裁量権だそうです。
つまりこれによってそれまでの税金が少ない人でも3−4倍、
都心部の実勢価格がとんでもない値段に引きあがっていた所は10倍、13倍に固定資産税が跳ね上がる事を意味してます。通常税金を引き上げるときは国会に諮って、
国民の合意があって知るべき物を単なる通達一本にて何倍にもなったわけでう。
平成6年に、1度にこの2−3倍となった評価に税額アップしては負担が大きすぎるとして、負担調整率と言うものを導入したわけです。
これは読んで字のごとく平成6年から引き上がった税金を向こう12年間をかけて調整して平均的に徐々に上げようと言うものです。
つまり平成6年度に改正されたとんでもないそれまでの3・・・10倍の高額の評価額に向かって、
12年間以内(平成18年をめどに)に分けて年間1割から2割3割ぐらいの負担で、
少しずつ平成6年に決めた評価額の水準に向けて上がりはじめた訳です。
しかしその一方でバブル崩壊以後平成元年以降逆に土地の実勢評価が下がりはじめて、
(上記図上A線は遅れて平成3年の評価替え時に下落をはじめてます)
当然その約7割である評価額が下がりはじめたわけです(上記図の通り実際にはB地点より横這い、
つまり下げたのではなく維持をし平成8年になってはじめて評価が下がったわけです)。
元来固定資産税の課税の仕方は、3年ごとに評価替えを行い、
評価替えで増加した税額負担はその年に一気に負担増になるのではなく、
次の3年間で1年ごとに段階的に上昇させて、
最終的に3年目で評価替えによる額に到達する方法をとっている。
3年間では上昇幅を吸収できないので、平成6年以降12年間かけて然段階的に引き上げられたわけであるが、
その一方で平成6年以降というのは、すでに地価が下落をしており、
地価が下がっているにもかかわらず固定資産税額があがり続けているというおかしな現象を生じていた。
これらの弊害、さらに抜本的に固定資産税が高すぎるという各界からの批判を受けて、
現在負担水準という考え方が導入されている。
前年の課税標準(実際に税率がかけられる数字)が当年の固定資産評価額のある一定水準をきめ、それを負担水準の上限にするという考え方である。
平成14年においては、名古屋市の場合商業地の場合70%、住宅地の場合80%が負担水準となっている。
現実には名古屋市内の商業地はすでにほとんどのケースで70%を超えており、
今後は地価の評価が下がればそのまま固定資産税額も下がる方向にある。
特に平成15年の評価替えにおいては、家屋等に評価減等もありかなりのケースで下がる事が予想される。
4月に縦覧制度があり評価替えを確認することができます。必ず縦覧して確認する事が必要となります。
さらに縦覧制度精度が変わります。他を比較ができるようになったり、
貸家の底地つまり大家さん名義の土地の評価を知ることもできるようになります。
固定資産税上昇による家賃の値上げ等を行政面から明確にすることがねらいとされています。
追記 平成14年4月
固定資産税評価額に付いての裁判事例(日本経済新聞2002/03/08朝刊)
東京・赤坂の商業地で、時価よりも高い固定資産税評価額に基づいて課税されたのは不当だとして、
土地を所有する不動産業者らが東京都固定資産評価委員会を相手取り、
評価額に関する審査請求を棄却した裁決の取り消しなどを求めた訴訟の判決が
東京地裁であった。藤山雅行裁判長は
「委員会は審理を放棄したに等しく、裁決は違法」と述べ、取り消した。
バブル崩壊後の地価下落で都心商業地では時価との逆転現象が拡大。
固定資産税評価額の水準が不適切と認めた判決はこれまでにもあるが、
原告側は「委員会の審理のずさんさを厳しく指摘した判決は初めてではないか」と評価している。
固定資産税評価額は1994年度税制改正で、原則として公示地価や基準地価の70%を目安にすることになった。判決理由で藤山裁判長は「この地域の評価額算定の標準とされた角地の基準地価は高すぎ、土地の形状が標準とするには不適切だった」として、原告らの所有地の評価額が割高に算定されたと認定。
そのうえで「委員会は基準地価に疑問がある以上、必要に応じて再鑑定したり、標準地を選び直す義務があったのに審理を尽くさなかった」と指摘した。
判決などによると、原告らは東京・赤坂に計770平方メートルの土地を所有。97年度の固定資産税評価額が時価より約40%高く算出されため、不服審査を申し出たが、退けられた。
委員会によると、94年度以降の評価額をめぐる訴訟で判決が確定した85五件のうち、委員会側の敗訴は1件だけという。