ニュースレター
主筆:川津昌作
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今どきのグローバリゼーション/h3>
〈2025年3月30日〉
要約
1. 世界で移民が住宅価格を押し上げている。
2. グローバリゼーションが財物の自由な交易から、人材・知財の
自由な交易に変わりつつある。
3. 人材のサプライチェーンの構築にためには、自由な流通の拠となる
多様性を実装した社会システムづくりが求められ。・
最近の英字紙エコノミストの巻頭で、移民のグローバリゼーションが取り
上げられていた。内容は世界中で移民が住宅価格を押し上げている事象を
取り上げているものだ。
今グローバリゼーションが大きく変わってしまった。かつて、リカードの
比較優位論に基づき、優位ある商品にそれぞれの国が生産特化し、それを
自由に世界中で交易した。自由な貿易を確保することによって、世界全体
の生産性、効率性が向上する。これがこれまでのグローバリゼーションで
あった。
しかし、市場が自由の価値観に基づく規律が効かないようになり、貿易収
支の偏りが拡大し、世界中で様々な格差が生じ、その原因となるようにな
った。世界中が求める生産性効率性をもたらすのではなく、一部への偏り
が弊害となり自由な交易をやめざるを得なくなってきた。関税戦争であ
る。
その一方で、財物に変わり人財の交易、人の交流が世界中で活発になりだ
した。移民である。最近まで移民は、多くが難民を意味する概念であっ
た。これに反して、従来の難民の概念を壊し、市場ニーズに基づく経済的
な効率性を求めて自由に移動する人達が増加した。
その結果、現在グローバル経済の新しい潮流として、移民が世界の住宅価
格の向上に優位なファクターとなってきたことを意味する。
今東京の住宅価格も高値を維持し、日本人では買えなくなりつつあると言
われている。当然外国人による購入が増えているわけが、言われているよ
うに投資目的だけで購入と言う理解をしていると、問題の本質を見誤る可
能性がある。
歴史を見ると、人の移動は、17世紀以降の労働力を補うための奴隷から
始まり、19世紀に戦争に代表されように特殊な労働力不足の補完、更に
その国の経済に対して賃金の裁定を目的に行われてきた。
そして2000年以降は、難民として人が移動するようになってきた。貧し
い国から豊かな国に、プッシュして自主的に流入し始めた。豊かな国にお
いては人道的ニーズとして難民申請と言う手続きで受け入れを行った。
難民は人道的ニーズから受け入れられてきたが、その一方で外部不経済が
もたらすと考えられてきた。そして現実に裕福な国の社会コミュニティー
を壊し、社会コストを増大させ財政に負荷をかけ、仕事を奪うなと言う考
えから、真逆のナショナリズムを生み続けている。つまり移民を規制する
力が世界で働いているわけだ。
その一方で、例えばインドの優秀なIT人材を世界が奪い合う光景が登場
しだした。本来のグローバリゼーションにおける適材適所の知財、人材の
再配分である。
外部不経済をもたらすと考えられ規制の方向にある移民と、必要な優秀な
知財として市場ニーズ都市必要な移民のオン・オフがグローバル市場で行
われている。
西側先進諸国が陥りがちなデフレ経済からインフレ経済への転換は重要な
政策目標である。弊社では何度も取り上げているが、資産インフレもこそ
が本格的なインフレの証拠でもある。住宅価格の上昇は、デフレを脱却し
インフレに抜け出した西側諸国の証でもある。
今日本の地方でも、様々な公的社会資本を担う立場に、移民を利用し始め
ている。移民が市場で住宅を購入し、それにより価格が上がることは、そ
の社会のコミュニティーに参加する事であり、その国の社会経済活動に有
効に参加ししなければならないことを示すものである。
タワマンなどの分譲マンションは、管理自体がそのマンション内での自治
が大前提である。今の日本の自治概念は、日本人の同質性が大前提となっ
ている。外国人の多様性をどのように日本の社会制度に実装するか?が喫
緊の問題となる。
今関税戦争など、財物のサプライチェーンを中心としたグローバリゼーシ
ョンが行き詰まりかけている。これに変わり人材・知財のサプライチェー
ンが、非常に高い市場ニーズとして顕在化してきた。
人材のサプライチェーンの拠点になるためには、多様性によるトラブルが
軽減される「多様性受け入れシステム」が実装される市場が必要となる。
それができ、優良な移民が機能し、住宅価格が上昇し、エリア経済が成長
することが新しいグローバル社会の勝者となるのだろうか?
以上
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