ニュースレター
主筆:川津昌作
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仙台駅前のインフラ整備
〈2025年6月20日〉
要点
今月社会経済史学会全国大会で仙台の東北大学を訪問した。久方ぶりの
JR東日本仙台駅である。10年以上前に回遊性を研究していた時に、仙台
駅前の回遊性に関するインフラ整備の調査で何度か訪れた。
時をへて仙台駅前の変貌ぶりを今回は紹介したい。仙台は東北地方の中核
都市である。仙台駅は路面に整備されたアーケード街が駅前に広がり、解
りやすい例で説明すると、名古屋の大須エリアがそのまま仙台駅前に広が
っている感覚だ。
名古屋の大須エリアはサブカルチャーのエリアであるが、仙台のアーケー
ド街はファーストカルチャーである。ブランドショップ、トップの企業店
舗も展開している。この横に駅から伸びている青葉通りがあり、名古屋で
言えば広小路通りと桜通りを融合したとおりだ。
商業オフィス、百貨店が立地しかつ桜通りのような街路樹が整備されてい
る。ただ路面の中心的商業施設であった仙台を代表する老舗のさくら野百
貨店が2017年に撤退したまま放置されているのが残念である。地方の中
心市街地にありがちな風景でもある。
これらのグランドレベルで平面に広がる商業エリアを、駅前に展開してい
るペデストリアンデッキ(地上2階のデッキ)でつなげている。このデ
ッキと前述のアーケード街と青葉通りの結節点がどのように効率よく機能
し、回遊性のジョイントができているかを前回は調査した。
前回の結論は、駅前の地上2階のペデストリアンデッキに開口部を持つ
商業施設のパルコの2階入り口に、人の回遊流量が流入し、商業施設内
のエスカレーターで地上におりそのままアーケード街に流れていた。
パルコと言う商業的に魅力のある商業施設内のエスカレーターと言う生産
性高い歩行インフラを使い駅とアーケード街の回遊性の結節点ができてい
る。同様に青葉通り方面にもエスカレーターが設置されていた。
当時はこの2基のエスカレーターが設置され、仙台駅前のペデストリア
ンデッキ施設による仙台駅エリア全体の回遊性の戦略性が形成されてい
た。今から思えば駅から出た流量は、そのままパルコの2階開口部の流
入する単純な流量がメインであった。
さてそれから15年を経た現在。このペデストリアンデッキの周囲に設置
されている周辺一階グランドとの結節点となる屋外の上り下りダブルのエ
スカレーターが5機に増えており、地下鉄から地上、そして地上階のペ
デストリアンデッキをつなげるエレベーターが2基増設されていた。
このペデストリアンデッキは、地上2階部に相当しこのデッキが周辺既
存ビルの2階部分にアーケードの屋根のように位置する。つまり一見既
設ビルには邪魔なものであり、かつ地上の人の流れを喪失して迷惑極まり
ない施設である。
今回の観察では、このペデストリアンデッキに隣接する多くの商業ビルの
2階に開口部が設けられており、そこから自由にビル施設に入ることがで
きる光景が随所で見られた。
更に、これらの商業ビルには当然エスカレーター、エレベーターが設けら
れている。ペデストリアンデッキを回遊している人たちは、当然これらの
施設内の昇降施設を使い、グランドレベルにアクセスすることも可能になるわけだ。
つまり仙台駅前のペデストリアンデッキ上で回遊する人たちは、隣接する
多くの商業ビル内のエスカレーター、エレベーターどれを使っても一階の
地上にアクセスできるわけだ。
これのデッキに開口部分を設けた商業ビルは、デッキができるより前から
ある商業ビル施設である。つまり既設ビルが後から2階の窓をぶち抜い
て入り口を作ってあるわけだ。口では簡単に表現するが、現実的ではない
話だ。
まず既設ビル二階高とデッキの高さが一致していない。入り口を作ると言
っても全く現実的ではない。そもそも2階をぶち抜いて入り口を開口す
ると言う事は建築基準法、消防法、都市計画法など多くの煩わしい行政手
続きが必要となる。
よく見ると、デッキの高さがところどころ違っている。つまり行政施設で
あるデッキが、周辺の民間施設の2階の高さに合わせている。そしてこ
の開口部の設置をたった10数年余りで完結させているわけだ。
建築関係者なら理解できよう。よほど行政の姿勢が、民間に対して低くな
らないとできないまちづくりだ。結果的に2階ペデストリアンデッキ上
には、かつて調査に入った一昔前よりも多くの人の流量があり、デッキ上
のいたるところで若者たちが集まり集合知が展開されている。
仙台駅には地下鉄も整備が進んでおり、規模は小さいながらも地下街通路
網もある。この地下通路網、一階の大商業施設であるアーケード街・青葉
通りオフィス街、2階のペデストリアンデッキおよびJR在来線、更に3
階に位置する東北新幹線があり、これら4階層の回遊性がペデストリア
ンデッキを中心に生産性の高い結節点を形成している。
仙台駅前の有機的な回遊性が完成している。
名古屋駅前のエリアマネイジメントの管理者はぜひ仙台駅の変貌ぶりを参
考にすべきである。比較して一番問題なのは生産性を高めるエスカレータ
ー、エレベーターなどの昇降システムの未整備である。階段が放置されて
いる。
仙台駅と比較するうえで、仙台駅前に展開する2階のペデストリアンデ
ッキが名古屋の地下街に相当すると考えると、名古屋駅前エリアの地上グ
ランドと、この地下街網とのアクセスの生産性が高くないと有機的な二つ
の回遊性の結合はできない。
しかし現状、名古屋駅前、栄エリアもそうであるが、地下街とグランドを
つなぐ施設はほとんどが階段である。エスカレーターはアクセル、階段は
ブレーキである。つまり名古屋では地下街からグランド、グランドから地
下街はほとんどが階段で、ブレーキとなっており、通行止めだらけの商業
施設である。
このブレーキによる関所だらけが、所謂名古屋駅が迷駅と呼ばれる問題の
本質である。
今や、地方の小さな駅から、東京などの都心の新しいし施設まで、階段は
上下ダブルのエスカレーターに置き換わりつつある。名古屋駅前でJRゲ
ートモール、KITTE、三井アーバンホテルなど民間施設内のエスカレータ
ーが増設されているだけだ。
名古屋駅前において、私見ながらエスカレーター(ES)があれば、駅前
エリアの回遊性の生産性を飛躍的に向上させるであろう、地下街とグラン
ドエリアとのアクセスポイントにおける、既存の階段のES化(ダブル)
およびESの新設候補地を考えてみる。
*JR名古屋駅正面のテルミナ地下街に繋がる南、北の二つの階段のES化
*上記階段が高島屋2階のデッキまで延伸するES増設
*名鉄地下鉄道駅、グランド、バスセンターの一か所昇降可能なES
*ミッドランド南サイドの地下ペデストリアンファサードの階段ES化
*ルーセントタワーのグランド公開地から地下通路への新アクセス
*都地下街の最後尾(錦通り)
*大名古屋ビルヂング北サイドの公開空地とビル地下街新設
*泥江町交差点のユニモールとグランドをつなぐ階段ES化
*笹島交差点現名鉄サイドの北西角のサンロード終着地
*地下街サンロード、ユニモール、テルミナの結節点とグランドのアクセス
既存の民間施設の方々には差し出がましく迷惑な話でお詫び申し上げます。
これらは、人の流れが地下街に取られてしまう、地上に逃げてしまうと言
う偏狭な考え方ではなく、人が自由に回遊できると言う自由度をエリアが
持つことで、エリアの魅力を高めることになる。
回遊性マネイジメントの原則は、胡散霧散に人が散らばって消え去るもの
であってはならない。あくまで核となる商業施設の求心力あるものでなく
てはならない。人の消費行動に自由度を持たせるものでなくてはならな
い。この原則のなかで以下の戦略的な回遊性を生み出せるかである。
以上
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