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主筆:川津昌作
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名鉄都市開発REITビジネスに参加

〈2025年7月25日〉

要点
以前から報道されていたが、名鉄がいよいよREITビジネスに参加する (日経新聞報道より)。具体的に提携先のザイマックスREITにスポンサ ー参加する。ザイマックスREITは東京のREITであり、名鉄のスポンサ ー参加は残念ながら名古屋ご当地REITではなかった。

これを議論するには、遡っていろんな見地から不動産ビジネスを考える必 要がある。まず名鉄は東海地方を拠点とする日本有数の地域基幹私鉄道会 社である。

鉄道会社は国の制度会社であり、市場行動にゆだねられる収益企業とは違 う。国の様々な制度により規制された中で保護され、かつ公開上場企業と しての収益も出す必要がある。

つまり鉄道本体事業で収益を出すことはできない。しかし、関連周辺ビジ ネスで収益を出し上場企業として、成長する必要がある。その周辺ビジネ スが沿線を中心とした不動産開発ビジネスである。

この不動産開発ビジネスは、沿線の住宅開発、マンション開発、商業ビル 開発、百貨店、リテールビジネス、ホテル、その他バス・自動車関連事業 等々からアミューズメントに至るまで何でもできる。

あらゆる商いが集うのが市(いち)である。この市が立つの場(ば)が不 動産である。市と場が融合して市場が成立する。つまり不動産はあらゆる ビジネスを包含し、あらゆる収益を普遍化したビジネスである(弊社川津 商事哲学)。

東京の電鉄会社は東京市場を背景に不動産ビジネスを手掛け、大きく成長 をしているわけだ。その一方で名鉄が最近この不動産ビジネスで見劣りが していたわけだ。

例えば名鉄百貨店の業績低迷、名古屋駅前開発の遅滞、セントレアビジネ スの伸び悩み、その他名古屋における都市開発の低迷である。低迷と断言 したのは大変失礼に当たる言葉である。

しかし名古屋地区は全国的に見ても、収益が低い地方ではなく、本来トヨ タを有する収益の高い企業城下町である。そこにあって競争相手の無い独 占的立場にありながら成長していないのは、ある程度の批判を受けざるを 得ない。

しかし、近年、名鉄都市開発を前面に出し、東京の不動産ビジネスの最前 線にあるザイマックスと強い関係を持ち、不動産ビジネスのテコ入れを行 っている。例えば、神宮前(熱田さん)の商店街開発などその効果はすで に出ており積極的な戦略が高い評価されつつある。

名鉄は名古屋で有数の商業・住居に限らず不動産資産を所有している企業 である。今不動産ビジネスの最先端は、不動産資産を保有して収益を得る ビジネスではなくなっている。不動産の保有と関与・支配の分業が起きて いる。

保有でなく強い関与で高い収益を目指す。新しいビジネスで高い収益が可 能な市場整備が求められる。名古屋がそれだけの先端不動産投資市場にな る必要がある。そのためにご当地REITなどが必要になるわけだ。

分業が起きることは非常に重要なことである。例えば18世紀イギリスの 産業革命で起きたことは、資本と労働の分業である。分業とは、そもそも アダムスミスが啓蒙した国富論に「分業することにより技術進化が起き、 それが高度な収益を生む。」とある。

産業革命が、分業により起きた機械の技術進化によって大きく成長したこ とは歴史的史実である。今不動産ビジネスの最先端も資産の保有と関与 (エンゲージメント)の分業により市場全体が高い収益を生む技術革新 (不動産テック)開発に向かっているわけだ。名古屋が乗り遅れてはいけない。

更にいろんな事情が関連する。例えば名鉄など優良企業は、保有する資 産総額が非常に巨大になりつつある。当然減損会計基準でリスクが企業コ アの財務に影響する。不動産などのリスク資産を企業のコアの財務からオ フバランスする必要がある。

とはいえ日本の文化は、古くからある遺伝子を育んできた不動産を売るこ とは感情的にできない。新しい社長と言えども簡単にはできない。そこで オフバランスはするがその後も強い関与をイ維持し同時に、リスクを持た ず高い収益を上げる。これがエンゲージメントビジネスである。これが日 本のREITおよび私募ファンド、最近の胡散臭い私募REITビジネスであ る。

REITビジネスは、まさに保有する一般投資家の拡大ニーズに対応しなが ら、スポンサーとしてビジネスに関与するエンゲージメントビジネスだ。 (J-REITはスポンサーがエンゲージメントビジネスを独占しやすい制度と なっている。)。

名鉄がザイマックスから、これらの新しい不動産ビジネスのノウハウを吸 収しようとしている真摯な姿勢がうかがわれるわけだ。ただ残念なのはま だ名古屋のご当地REITの生成に至ってない。ザイマックスが運営する REITは東京資産の運用であって、名古屋、名鉄の資産ではない。これに 1000億円投資を目標としている。

弊社は以前から名古屋地場REITの必要性を説いている。REITは公開上 場である。これが名古屋にあれば、名古屋の公開ベンチマークになる。ベ ンチマークができれば投資の基準となり、さらに大きな投資の誘致が可能 となり、名古屋の不動産投資市場が開花する。名鉄がスポンサーになるご 当地REITが、一番信頼性があるわけだ。

ただ今回の出資は名鉄らしい、名古屋らしいともいえる。名鉄は1962 年、犬山遊園にモノレールを開発し、そのノウハウをもってオリンピック 開催前の今の東京モノレールの運用に参加した。現在は手を引いてしまっ た。名鉄は決して名古屋に閉じこもらず、外に果敢に打って出れる企業体 質がある。

近年の事例では、名古屋資本の中日新聞が東京新聞に資本参加した。名古 屋資本は決して地元に閉じこもることなく、東京に進出する野心が非常に 高いところだ。

一方ザイマックスにもいろんな事情があるのではないだろうか?ザイマッ クスは前出の分業不動産ビジネスの技術革新の最先端のノウハウをもって 旗揚げした企業である。しかし独立系であるがゆえに資本が細い。あくま で邪推であるが、今更東京の資本にすり寄ることはできないはずだ。資本 ニーズのマッチングが可能な関係だ。

もう一つ懸念を言えば、日本の不動産投資では東京、大阪、名古屋、福岡 の分散投資はリスク分散の効果がない。これは理論的に証明されているこ とだ。むしろ地域集中型で効率のいい運用が効果を上げる方が効率的だ。 名鉄のスポンサー出資で東京、名古屋の分散投資を考えていると結果が出るかどうか懸念がある。

いずれにしても、名鉄資本とザイマックスの提携による化学反応は期待で きるが、不動産ビジネスと距離を置いてしまった名鉄本体がどれだけザイ マックスのやり方を許容できるか?これも懸念がある。

以上が第三者から見た、最近不動産ビジネスのトレンドを背景とした今回 の名鉄の不動産戦略の解説である。

これからの名古屋の都心戦略は、交通コネクトビジネスにある。日本の中 心にあり、陸海空の交通の要所でもある。これを有効につなげることは非 常に大きな都市戦略となる。その要が名鉄にある。それができれば名古屋 の盟主として君臨もできるはずだ。

都市の生成は、商業理論から言えば、どうしても通り過ぎることができな い魅力がある事だ。名古屋がこの魅力をどれだけ出せるか?リーダーシッ プの見せ所である。

名鉄都市開発がご当地の不動産ビジネスのリーダーとし戦闘状態に入って いる。決して褒め殺しではない。期待である。

                            以上

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