ニュースレター
主筆:川津昌作
名古屋の不動産何でも相談室がお送りする、不動産・ビジネスに関するニュースレター「名古屋ビジネス情報」へのご登録ありがとうございます。
不動産にとどまらず、名古屋のビジネス情報、街づくり話題、不動産経済、市場トレンドに関するニュース、物件情報など時代の変遷とともに広くお伝えしています。
特記事項 弊社ニュースレターは、弊社の関係者及びお得意様に限定して、不動産ビジネスを行う上で注目すべきテーマをタイムリーに取り上げ、問題点を共有する為の
ワーキングペーパーであります。公的機関を含む他のセクターへの提言、請願、上奏、不特定多数への拡散を目的としたものではありません。転用を禁止します。
取り上げる内容については、成熟した定説を取り上げるのではなく、早熟なテーマを取り上げるため、後から検証すると拙速な結論になってしまっていることもあります。
そう言った事を十分にご理解したうえで、ご参考にしていただきますようお願い申し上げます。
2025年−2026年年末年始特別号
〈2025年12月25日〉
要点
1.ゲームチェンジが始まった。原発回帰が始まった。
2.名古屋のゲームチェンジ。名鉄再開発停止。
3.名古屋経済のファンダメンタルズがおかしい。
4.AIのゲームチェンジ
5.インフレ高金利へのゲームチェンジ
弊社ニュースレターが2025年で創刊以来1000号を超えることができま
した。多数のご支援、お叱り、アドバイスを頂戴しながらも何らかの一定
の役割をし終えたものとして、現在発刊ペースを落としてお届けさせてい
ただいております。
今年も、年末年始特別号の執筆をする時期になってきました。今年はイン
ターネット時代から生成AIへの、革新的技術が社会実装されてゲームチ
ェンジが始まる年であったと言われています。
*様々なゲームチェンジ
その関連性が直接見えなくても、社会のあちらこちらで直近10年余りの
大きな枠組みのゲームチェンジが起きている。まずトランプ大統領の関税
政策で世界の貿易枠組み、フレンド親和性、そして大国同士の親和性の新
たな枠組みが、大きくゲームチェンジし始めた。少なくとも以前のバイデ
ン政権の枠組みに戻ろうという逆進性は見えてこない。
日本でも初の女性首相が生まれ、又実効性ある連立政権が起動し始めた。
ヨーロッパでも連立政権では、女性による政権担当が大きな成果を残して
いる。世界情勢を見ても、日本に女性首相がたまたまの偶然ではなく、中
道連立政治において満を持して時を得て登場したとも言えます。
経済でも大きなゲームチェンジが起きました。国策とも言えた風力発電を
含めた再エネの枠組みの崩壊です。国が考えた風力発電網整備に、三菱商
事が大きなヘゲモニーを取る形で参画した。しかし今年になり三菱商事が
全面撤退を表明した。
当時、三菱商事の企業責任論が論壇で登場したが、時をたてばそもそも日
本の発電価格等再生エネルギー政策の枠組みが、従来の政策の責任逃れの
無責任な踏襲でしかなく、三菱商事ほどのリスクテーカーでも逃げ出すよ
うなビジネススキームでしかなかったわけだ。
ほどなくして、地方で停止していた原発再稼働への移行手続き開始のゴン
グが鳴り響いた。手のひらを返したとはこのことを言うのであろう。今の
日本で再エネの枠組みが、世界に通用しないことを漸く認めた政策のゲー
ムチェンジである。
一番発電単価の安価な原発に、なりふり構わず移行しだした。東日本大震
災の教訓スキームもある意味震災後10年間の枠組みと言える。これを一
気に破壊しチェンジしてしまう。破壊エネルギーこそが次のゲームチェン
ジのエネルギーとも言える。
ヨーロッパでは、ついにEVオンリーから燃料自動車への回帰が宣言され
た。これも大きなゲームチェンジだ。AIのデータセンターに象徴される
電力の大需要が、逆進しながら漸進している。
*名古屋のゲームチェンジャー
さて名古屋でも踏襲されてきた大きな枠組みが崩壊した。名鉄の名古屋駅
前再開が先の読めない延期となった。2000年にJRセントラルタワーズ
がJR鉄道ビジネスのゲームチェンジとして登場して以来25年、四半世
紀の名古屋駅前エリアの再開発の集大成として期待された名鉄の再開発が
ストップした。
構想して約10年余り経ても整備が進まなければ、そもそも無理がある。
ゲームチェンジした方がいい。しかし上記にもあるようにゲームチェンジ
とは前の枠組みの破壊である。遅延、先送りではない。
破壊とは、前の枠組みと真逆であり、前任者の考えの否定でもある。前枠
組みの破壊だから、ダイナミックな新しい計画ができる。前任者に配慮し
ていては、おそらく先送りがいいところだろう。ゲームチェンジャーには
なりえない。
新聞報道も「あくまで人の確保ができないだけ。」と言う名鉄に対する忖
度が報道に見え隠れしているが、いつまでもできないものを責任逃れで後
追いするのではなく、新たな枠組み、ビジョンを打ち出せるゲームチェン
ジャーを要求すべきだろう。
機を見てゲームチェンジができる姿勢こそ、スピード感ある経営となる。
名鉄はこれまでも今後も名古屋経済のリーダーだ。であるなら早々に新た
なビジョンを打ち出し、周りをけん引することが求められるはずだ。
不易流行に流されない経営?江戸時代とは違うのだから、現在のように変
化が速い時代に10年考えてダメなものを追いかけ続ける方がおかしい。
ましてや、最先端を競う都市開発、不動産開発にもかかわらず、スタート
で10年前の枠組みを引っ張ている時点でアウトだろう。
*名古屋経済のファンダメンタルズ
話は変わって、名古屋のファンダメンタルズの経済市況を議論したい。本
来このテーマがメインであった。結論から言って名古屋が良くない。日銀
名古屋支店の短観が信用できない。
簡単なデータから見ていきたい。令和5年、6年、7年の地価公示の商業
地の都市圏別変動率(上昇率)で、令和5年が東京圏3.0%、大阪圏
2.3%、名古屋圏が3.4%。令和6年が東京圏5.6%、大阪圏が5.1%名
古屋圏4.3%。令和7年が東京圏が8.2%、大阪圏が6.7%名古屋圏が
3.8%。であった。
非常に気になっていたのであるが、東京、大阪圏のコロナ以降の地価上昇
に名古屋圏がついていけていない。微妙に乖離し始めている。特に令和7
年以降のインフレが顕在化した以降、決定的な差が出てしまっている。土
地経済をもう一度定義すると以下のとおりである。
土地の上では、あらゆる商いが行われ、市(いち)が成立する。この市が
成り立つスペースが場(ば)となり、上位の市と下位の場がリンクして市
場(いちば→しじょう)となる。
市ではあらゆる商い活動が行われ、様々な属性の利潤が生まれる。この
様々な属性の利潤を普遍化したものが地代となり、地代の現在価値を資本
利回りで割り引いたものが地価である。
地価を単なる不動産屋の指標としか見ないエコノミストが、日本では未だ
に多いが、アメリカでは通じない。まずFRBの議長が一番言及する言葉
が物価、失業率、住宅価格だ。
資産経済が経済全体に及ぼす影響は大である。ちなみに日本の中央銀行
は、かつてのバブルの制御の失敗が地価の見落としと言う自責があり、そ
のトラウマからあえて距離をとっている。
名古屋経済が、インフレ成長に乗り切れていない。もちろん言い訳、原因
をあげればいくらでもいえる。インバウンドが名古屋はない。トヨタの対
トランプ業績を反映している。名古屋は不動産賃料が全く上がらないバイ
アスが強すぎる等々。
言い訳を探しても、下がっているものは下がっているわけだ。「いや下が
っていないだろう。上がっていないだけだろう。」と反論する人は、イン
フレを全く理解していない。インフレ水準についていけなければ成長は停
滞となる。
インフレは、ビジネスにおける新陳代謝の場である。弱者をいつまでも延
命させることなく切り捨て、強者を育てて、次の世代を乗り越える試練の
場である。インフレを超える高い成長ができない市場は、敗者となり市場
から消え去ろう。
名古屋経済圏の低迷の構造的な原因として、都市構造的な問題を指摘した
い。トヨタ企業群と言う好業績の製造現場に隣接しながら、名古屋の都心
がその利益の投資の受け皿となっていない。古い商業空間だけで都心が維
持されている。そこへインバウンド効果の希薄さだ。
10年以上、名古屋都心の魅力に寄与する構造的インフラ投資が行われて
こなかった。投資マネーを外部から吸収できる魅力を出してこなかった。
投資マネーは投資効率が一番いいところに向かう。名古屋経済圏が投資資
金を取り込めないことは、それだけ都市の魅力が低下している証拠だ。
このままいくと、三大都市圏で名古屋だけが収益がインフレについていか
ず、コストだけ上がる悪性インフレに陥る。しかしこれらの低迷も、リニ
ア、名古屋駅再開発が起爆剤となり・・・と言う期待感でカバーしてき
た。これに変わるゲームチェンジが必要になる。
もう一つファンダメンタルズを見てみよう。名古屋駅前のオフィス市場を
詳しく見てみよう。最近できた名古屋駅前の高層のSクラスの商業ビル
群(セントラルタワーズ、ミッドラウンド、KITTE、ゲートタワー、大名
古屋ビルヂング)には、日本の名だたる上場企業の名古屋の出先機関がほ
ぼ独占的に入居している。
理由は、至便性がいいことはもちろんであるが、環境性能等の高機能ビル
施設が名古屋では、これらのビルにかぎられてしまっているからだ。上場
企業として入居するステータスを独占している状況だ。
名鉄の再開発が、構想いらい10年かかろうとも、このような高性能ビル
群の増床と言うメリットを打ち出せば、やはり満室になる可能性はあった
だろう。再開発の遅滞自体は、それほど心配はないだろう。という予測を
弊社ではしていた。
これは裏を返せば、この名古屋駅前の新ビル群以外の周辺の既存のビルの
賃料、入居率を押し下げていた。これには名古屋の金融構造的問題が絡ん
でいる。地場資本の不動産再開発にファイナンスが付かないこことだ。
名古屋の金融構造の脆弱な問題は、東海銀行が姿を消して以来議論されて
きた問題だ。経営が健全な地場資本のビルでも、老朽化しても地震対策を
するのがやっと。建て替えることはできない。ファイナンスが付かない。
私どもが、不動産実務で長年携わってできた格言である。「新規ビジネス
は新しい器を求める。」。地場企業の受け皿となるべき新し器が、ファイナ
ンスが付かず建築できていない。
名古屋都市経済が、トヨタ企業群の利益の投資先になりえていない原因の
一つに、県と市の政治家のコンセンサス不足もある。トヨタ企業群は高い
イノベーションを求める先進企業群である。イノベーションは多様性(都
市)のマッチングの中で生まれる。トヨタの研究室で生まれるものではな
い。このトヨタの投資先が名古屋都市を通り越して他の地域に向いてしま
っている。
いろいろ理由は上げたが、構造的な問題が多いと言う事は一度落ちてしま
うとなかなか回復しないことを意味する。不景気下でのコストプッシュの
インフレ経済に落ちいる。地方財政がひっ迫し、市民生活のも税金負担が
かかりかねない。すべてが逆回りしだす。
*AI情報革命
さて一番大きな根源のゲームチェンジがインターネットからAI情報革命
へのチェンジだ。弊社が一番考えている、今社会で起きているチェンジは
フェイク概念のチェンジだ。
今でも非常に多いが、AI生成情報を間違いが多いフェイク情報であると
断言する人たちがいることだ。ネット情報とAI情報の根本的な違いは
「生成」にある。ネットはある情報を効率よく検索してそのまま流す。正
しい情報、間違った情報、信頼性のある情報をそのまま流す。
AIは情報を合成する。生成された情報である。昔合成肉と称して様々な
肉を合成して商品化した業者が犯罪者として捕まった。今では様々なブラ
ンドの肉を合成して商品化してもいい時代だ。
AIの本質は生成である。例えば、これまでは翻訳ソフトを使っても単語
の変換のつなぎ合わせたモザイク状態で文体にならなかった。しかし生成
言語にしたらいっぺんに文章が整い、読める或いは聞けるようになった。
つまり正確な言葉の置き換えではなく、推定して生成しなおした文章が翻
訳として正しく聞けるわけだ。
これからのネット情報がすべてAIで生成された情報になっていくわけ
だ。生成が導き出すのが推論である。これから先にある社会は、信頼のお
ける情報をもとに推論したものを入手する。推論が正しいか、間違ってい
るかの判断が求められるが、それはフェイクの真偽の議論ではなく、どう
使うか、どう対処するか?という現実的な問題となる。
考えてみれば、人は頭の中で、様々な情報を組み合わせ新しい情報を生成
していた。これが推論であった。新聞を一字一句読まなくても、いくつか
の単語でその先を推論した。これが人の読解力である。
頭の中ではMLBのMVPとサイヤング賞を同時にとる夢を妄想して楽しん
できた。それがAIで生成してアウトプットすることが可能となった。し
かし今はまだそれをAI上で生成すると、フェイク情報の作成というレッ
テルを張られる。
インターネット時代のネット検索、情報の置き換えから情報の生成のゲー
ムが変わったのである。おそらく、仕事の内容、勉強の仕方だけでなく情
報の価値観、キャリアの内容、知的人材の評価の仕方、評価対象まで大き
く考え方が変わるのでっはないだろうか。ゲームチェンジがどんどん加速
する。
例えばTVなどのブロードキャストから多種多様なネットチャネルへ、巨
大AIからクライアントAIのネットワークへ、プラットフォームの階層
化等々情報産業が大きくゲームチェンジが起きるだろう。
*高金利時代
高金利時代へのゲームチェンジ。2026年度国家予算122兆円のうち国債
費が30兆円となる。利払い費用だけで10.5兆円が充てられている。現
在長期国債金利は2%だが、2.6%になれば13兆円が充てられる。日本
の国債の多くは日本国内で所有されている。金利上昇で評価損を出す機関
もあるが、金利の直接の恩恵を得るセクターも出てくる。
上記でもふれたが、インフレ・高金利は弱肉強食の修羅場だ。高コストに
ついていけない人は市場から退場。強者だけが市場に残り次の世代を担
う。この修羅場についていけないと生き残れない。名古屋経済が生き残れ
るのか?
名古屋経済をけん引するゲームチェンジャーが現れるか?市場でゲームチ
ェンジが起きる事自体がインフレ社会の現実だ。恐れず果敢にゲームチェ
ンジに挑戦できることが一番の強みとなる。新陳代謝は経済成長のドライ
バーであることを忘れてはいけない。
新聞で、高市政権の、過去の小泉政権、安倍政権のように景気が急浮上す
る期待感がよく取りあげられている。特に安倍政権を踏襲すると公言して
いるが、安倍政権誕生時も中国との関係が最悪の状態で、地勢リスクが世
界中に喧伝された。東京都知事の尖閣諸島を東京都で買収するという発言
からである。叩かれればむしろ高市政権が強くなることを期待したい。
しかし忘れてはいけないのは、この両政権が好景気を演出したのは、異次
元の規制緩和、金融緩和によるものだ。小泉政権の東京都心の都市再生本
部による容積率の緩和は、今の六本木、丸の内、大崎の高層ビルの再開発
を実現した。
そして安倍政権は言うまでもなく異次元の金融緩和である。日経平均1
万円以下を3万円まで戻した。国富にして400兆円の回復を成し遂げ
た。高市政権がどのような規制緩和を打ち出すか?待ち望んだゲームチェ
ンジャーの登場となりえるか?
日経流通MJ新聞(12月3日)に、10月にできたJR東日本の高輪ゲ
ートシティーの評価が取り上げられていた。
報道の意図は、良い評価としたいのか悪い評価としたいのかは理解できな
い内容であったが、山手線30ある駅の中で8位を強調している。今回の
ニュースレターの目的は、名古屋駅が関東から関西までの東海道の中で評
価されたら何位になるのであろうか?を考えてもらう問題提起だ。
高輪Gはリニアを想定したJR東海主導の品川駅開発に隣接し、ある意味
JR東日本が品川駅再開発に対抗的に行った駅開発であり、できる前、当
時から不便という予想がなされていた。
詳しい内容は新聞を読んでいただきたいが、一点だけ紹介すると鉄道駅か
らのアクセスはいいが、車など他のアクセスが不便という声を取り上げて
いた。
現在の都市開発の中心が、主要交通機関の交通アクセスを核としている。
特に都市間交通だ。従来のように商業施設がメインでアクセスが後からつ
いてくるという時代ではなくなってきた。
しかもリアルな人の流量だけでなく、情報の発信基地つまり情報の流通拠
点となる事が最近求められている。人、物そして情報の交流拠点となる事
が都市の核となり、その核の実効性がその都市の趨勢を左右することにな
る。
折しも、名古屋では「NAGOYA都心会議」なるものが設立され名古屋地方
紙の新聞紙面を飾っている。名古屋五摂家はじめ主だった企業が集まって
名古屋の都市を良くするための民間の器だろう。
このNAGOYA都心会議が名古屋商工会議所の音頭で発足した。名商の音
頭で発足することが素晴らしいことであろう。何かと都市開発と言うと行
政の制度ありきで、財界がそれに追随するのが従来のパターンであった。
しかし、国、自治体行政からお金が出ることは期待できなくなった今、財
界もしくはそれに代わる都市デベロッパーが必要になる。資本主義の大き
なリズムの中で言えば、都市が資本蓄積の器となり、さらに進んで都市が
資本主義の成長の駆動エンジンとなってきた。
都市が、資本主義の発展の駆動エンジンになるという事は、都市を開発す
るセクターが資本主義の主要なエンゲージメントとなる。これは行政では
ない。何故なら市場的社会主義ではないからだ。
当ニュースレターで何度も取り上げているが、かつて名古屋財界五摂家が
隆盛をしていた高度成長時代以降、名古屋市都心を商業施設で核を作り都
市の賑わいを創出していた。これは名商を中心とする財界が利権調整しな
がら儲かるビジネスモデルを作ってきたわけだ。
ただし、機能していたのは、五摂家が仲良かったことを意味するのではな
い。五摂家だけでなく、いろんなビジネスプレーヤーが様々な利害を主張
して、それらを取りまとめて差配したというのがおそらく正しいのではな
かろうか?ビジネスのダイナミズムがあったわけだ。
新しいビジネスモデルを開発する百貨店、従来の小売店、更に振興のスー
パー、私鉄、国鉄、市中銀行、エネルギー問題等々様々な利害の主張が強
く衝突していた。つまりエネルギーが満ち溢れていたわけだ。
今回の都心会議がどのようなものか知る余地もないが、お上で決めたこと
を下で口を開けて待っているだけ、とりあえず参加しとこうだけの仲良し
クラブであるならば期待ができないわけだ。
上記のように名古屋駅の東海道における「駅間競争」なるものが起きると
想定すると、まずリーダーの大風呂敷。そこで名古屋駅を中心とした交通
アクセスにおける利権が激しくぶつかり合い、それを差配する力をトップ
が示す姿。これが機能すれば名古屋駅の将来は明かるのではないだろう
か?
名古屋駅がハブとなり、東海地方への交通・アクセス拠点となるビジネス
モデルだ。名古屋駅のハブ化が評価されればおのずとインバウンドも期待
できるのではなかろうか?
まずは、名古屋駅の可能性をみて、こんなに儲かりまっせ!そこでどうや
って儲けたい?これが醸し出されなくてはならない。
最近名古屋駅を見て懸念する点がある。名古屋駅はセントラルタワー、ゲ
ートモール、KITTE、ミットランド、ルーセント等駅のブランドビルとも
言うべき施設が登場しているが、主だった上場企業の名古屋支店、出先機
関の多くがこれらのビル施設に入居している。
更に、スタートアップ、或いは地方の中小の企業がこれらのブランドビル
施設からクラウドアウトされてしまっている。その一方で名古屋駅などか
ら距離がある広小路、伏見あたりの中間の商業ビルに、主だった企業を見
かけることがなくなってしまった。
中心への集積、一部のブランドビルへの過度の集積化が起きてしまい、周
辺の空洞化が起きてしまっている。おそらく名鉄名古屋駅ビルの再開発が
完成すれば更なる、これら中心施設への集積が生じ、その分周辺の空洞化
が進むだろう。
1. ビジネスモデルであるアリーナつぶしが起きている。いつの間
にか新しいコンテンツが来なくなった古い施設が新型アリーナ
と同列になってしまっている。
2. AIはレベルの低い置換労働型技術進化ではない。社会を大転
換させる技術革新である。失業の機会ではなく、新創造の機会
である。
3. フェイクニュースはすでに死語になる。
最近のジャーナリズムはポピュリズムを批判するがその一方で一番ポピュ
リズムを情宣している。最も、いつの時代も一番激しく攻撃するのは、敵
をやっつける為でしかないが。
どの新聞とは特定しないが、最近の市場の論壇から二つのテーマを取り上
げたい。少し前のアリーナが全国でできすぎて過剰になり採算が合わない
というものである。もう一つがAIによる失業だ。
例えば、名古屋で考えると、おかしな話だ。アリーナができたのはIGア
リーナ一つである。しかしいつの間にか4−50年も前に建てられて体育
館、ホールが急に便乗アリーナになり、過剰だと言いだした。その片棒を
担ぐジャーナリズムだ。
最新のアリーナで開催される新しいコンテンツと、半世紀も前の古い施設
で行われるコンテンツの違いもお構いなしに、いつの間にか新しいモーブ
メントに抗い生き残ろうとする、古い施設の新しいものに対する抵抗であ
る。
それを真実の声として報道するなら、半世紀も前の施設で新しいコンテン
ツが来たがらない状況に不満を持つユーザーの声をどうして取り上げない
のか?今までの名古屋飛ばしの現状に対する不満である。
次に、直近のある紙でAIによる失業がかならず生じる。という論説を上
げていた。あまりにも稚拙な論説だ。論者の主張は産業革命の機械技術進
化とAIの技術進化は違うという。という理由だ。
18世紀イギリスで起きた産業革命、特にここでは綿軽工業の技術進化を
いうのであろうが、技術進化により置換労働が起きたが機械産業の成長で
失業は起きなかったという説明がなされていた。
イギリスの産業革命で起きた技術進化のメカニズムは、まず置換労働の技
術進化が起きたのではない。産業、社会の生産性を一気に向上させる技術
革命が起きたのである。
その結果、新しい紡績、紡織仕事に新たな熟練技術を必要としそのための
教育、従来の産業部門への新たな労働(婦女子、移民)供給が起きた。社
会全体では労働不足である。
要するに社会の生産性を一気に変えるほどのインパクトがある技術革新で
あれば、全体的で新たな労働機会が生まれて労働不足になる。ただし生ま
れる技術が高ければ高いほど社会実装に時間がかかり、その間の労働力の
ミスマッチが労働市場では起きる。
もしこの時に起きた技術産業が、新たな社会に変換する高度な技術革新で
はなく、単なる労働置換技術であれば、それによる大きな社会変動は小さ
く、短時間でその労働ミスマッチは解消されてしまう。
ちなみにイギリスが産業革命のイニシアチブを謳歌できたのは、厳しい政
策ではあったが一時的な失業者の救済を後にしても、新しい産業労働階級
の台頭を優先させたことにある。
これから起きようとしているAI革命は、従来の大衆財消費中心の社会か
ら、情報の大量生産大量消費時代への大転換である。単なる置換労働技術
進化ではない。まず最初に起きるのが、AI関連の新しい技術に対する高
度な熟練労働需要である。この時点ですでに労働不足になっている。
これに対し、新しい技術労働に対する移行による補填として移民・休眠労
働力に対する需要が高まる。そしてAI技術の進化が高ければ高いほど、
長い時間を要しながら労働置換が進む。逆にもしそうでなくAIが単なる
労働置換技術であるならば、一時的な労働力不足だけが起きる。
もしAIが単に失業者を生むだけとして、AIにブレーキをかけるなら、
社会全体の漸進リズムが狂い、もっと大きな経済の成長チャンスを失う。
AI革命はそれくらいインパクトの大きな技術革新である。
冒頭の古い施設に寄り添った新型アリーナつぶしと同じだ。AIつぶし
だ。さもこれがジャーナリズムの対立意見の提示であるように、正しい情
報として安易に活字化してしまうところが極めて危険だ。
AIごときで失う仕事は、いずれ早晩市場から退場すべき効率の悪い生産
性のない仕事であるはず。ビット単位のデジタルディバイスの一部が今後
量子コンピューターに変わろうとしている。これを重大な失業危機として
しまうか、それとも重要な産業転換と考えられるか?の違いだ。
「フェイクニュース」という言葉があった。大量情報時代この言葉は死語
になるだろう。どこどこの情報エージェントは真でどこどこは偽だという
区別は時代遅れだ。そもそも物事に真偽を正確に評価できない。真偽はユ
ーザーが感じるものだ。
1. 今の格差拡大、円安の状況下で、外国人就労の待遇改善論議を
優先させると、確実に自分ファーストムーブメント、分断が生じる懸
念がある。ヨーロッパで進んだ道である。
2. 低所得、格差問題に真剣に向き合う必要がある。円安は名目格
差問題を悪化させる。参院選挙では低所得者の是正政策に寄り
添えなかった政権が支持されなかった。
3. 労働力不足改善は、移民のタイミングを怠った以上、大きな改
善は期待できない。移民問題は数世代を経て結果が出る課題
だ。短期的な労働力不足だけでは効果を得てもその後の負担が
多くなる。長期的に評価すべき課題である。
4. インバウンドも、低所得者VS金持ち外国観光客の風景にしか
映らない。
しばらく前の日経新聞(経済教室)で「外国人政策の課題」が議論されて
いる。二人の有識者が解りやすい議論をされているが、触れてはいけない
問題(国内の低所得者問題)を包み隠しているのか、もう一つかゆいとこ
ろに手が届いていない議論だ。
紙上識者の主な主張を取り上げると、日本では欧米のような厳しい外国人
排斥運動にはならない。欧米の実態がまるで他人事のようだ。そのうえで
「ホスト社会への外国人の貢献を引き出す環境を醸し出すべき。」「在留外
国人の雇用環境の改善と教育レベルの向上・・。」などが主張されてい
る。
今回の市場での議論を含めて、巷で聞く有識者の外国人政策の議論には、
今現在の日本の国民感情に対する思いやりがかけていると感じる。極論、
なぜ新興勢力の政党が支持を得ているかである。
私どもが考える結論から言えば、いま議論されている外国人移民増加政策
には、今、ホスト国側である日本の所得格差が広がり、低所得者層が増え
るもしくは更に悪化しているタイミングの状況下で、かなり強い拒絶が生
じることに対する配慮がかけている。受け入れを増加するタイミングを完
全に間違えた責任が大きい。
確かに、紙上議論にあるように、日本国内の一般労働者の月額賃料が男女
で33万4千円に対して、外国人労働者は24万2700円、専門技術職で
も外国人労働者で29万2千円と低い。だから彼らの雇用環境及び子供の
教育環境を改善しなくてはならない。いつもながら外国人政策で登場する
比較データである。
しかし今、日本の低所得者と言われる人たちの平均月額所得が20万円レ
ベルで、年収300万円以下である。彼らの所得・生活改善の議論を差し
置いて、外国人労働者の雇用改善、子供たちの生活教育改善の議論は、当
事者にとっては完全に受け入れられない。
日本の生活保障レベルの生活困窮者の話ではない、普通の一般低所得者だ
けでなく普通の中流所得者の下位の人でも、結婚ができるだけの十分な将
来所得が見込めない、ましてや子供を産んでも義務教育以外の塾にも通わ
すこともできない。
高学歴、高就職は高額な教育費に完全に相関してしまっている。低所得者
生活者は、次の世代の低所得者を生み続けるだけなのか?となる。つまり
将来に期待持てず、更には少子高齢化で年金保障も危ないと騒がれてい
る。
そこへきて、自分たち及び子供たちの将来を放置して、外国人労働者及び
子供たちの待遇を改善しようと言う事は、それが所得水準で同レベルにす
るだけであろうと、改善を優先すること自体、感情的に受け入れられない
わけだ。反体制家、ポピュリスト、騒擾扇情者の格好のネタになってしま
う。放置すれば分断も起こりかねない。
本来なら、「順序は逆かもしれないが、外国人労働者の受け入れを優先す
るだけです。その後経済が安定すれば必ず皆さんの手当てをします。」
と、丁寧に説明責任を果たして政策に着手すべきであるが、それを説明す
る政権に信任が無ければいくら学者が叫んでも実現できない。
有識者、政治家の議論は、「日本国内の低所得者の議論と、外国人労働者
の受け入れ議論は完全に別ものであり、少子高齢化に対処する必要があ
る。」である。自分たちの一般的な生活困窮状態を放置されて、政治家が
不透明なお金をもてあそんでいる状況で、外国人の生活向上の議論自体が
受け入れられないことにある。完全にタイミングを間違えてしまってい
る。
この格差問題、低所得の議論に対して有識者、国がまともに向き合ってい
ないことが、外国人排斥を加速させ、坊主にくければ袈裟までにくい式に
どんどん加速し、インバウンドの観光客のおもてなしにまで、行儀の悪い
観光客の映像をSNSにアップし、正気を失った議論になってしまってい
る。
「では今後少子化では、外国人労働力を受け入れずして成り立たない現状
をどうするのか?どう解決するのか?」。それを言うならばなぜもっと早
く手を打たなかったのか?なぜ円が強い時に外国人労働者の受け入れをし
なかったのか?政策世論創造、政策実行の怠慢でしかない。
今回の新聞紙上でなされている程度の議論で、外国人労働者を受け入れよ
うとするなら、おそらくポピュリズム政党が選挙でますます力を増すくら
いの状況を想定しなくてはならないだろう。ヨーロッパで現実に起きてい
ることだ。
円安問題は、インバウンド客問題を見ても大きな問題を含んでいる。日本
人が円高で、海外を闊歩した時代を思い出してほしい。強い円を懐に入れ
て、先進諸国、日本より裕福な国に行き、なんでも買えるエコノミックア
ニマルまがいなことをしていた。海外でも金持ち日本人を手招きして受け
入れた。
気が大きくなった日本人は、高級ホテルレストランで高価だけでなく希少
なヴィンテージワインをどんどん注文して抜きまくって、特別な時に特別
なワインをたしなむヨーロッパ文化を踏みにじる所業を平気でしてきた。
今のインバウンドの爆買いと同じだ。
その国の希少な産物を安い円で安く買えることを錯覚して、その国の文化
まで安く値踏みをして、その国の人たちを上から見下ろしてしまう。それ
が随所で態度に出てしまう。下品な所業ではあるが、強い通貨の観光客相
手にインバウンドをする事は、こういう虚勢を逆手にとって儲ける商売
だ。マウントを取り上目線で、日本人、日本文化を見下ろす。円高で日本
がやってきたことだ。
日本の低所得者が、海外水準でさらに低くなると感じるのが円安問題だ。
今後増え続ける日本国内の低所得者に対する政策的配慮、将来に対する説
明責任を果たさずに、今の程度の議論では外国人の拒絶を広げるだけだ。
結論は、
1.今の程度の議論で外国人就労を増やせば、確実に自分ファーストムー
ブメント、分断が生じる懸念がある。ヨーロッパで起きた道である。
2.低所得、格差問題に真剣に向き合う必要がある。円安は名目格差問題
を悪化させる。参院選挙では、低所得者の是正政策の決断ができなかった
政権が支持されなかった。
3.労働力不足改善は、移民のタイミングを怠った以上、大きな改善は期
待できない。移民問題は数世代を経て結果が出る課題だ。短期的な労働力
不足だけでは効果を得てもその後の負担が多くなる。長期的評価で考える
課題である。
4.インバウンドも、低所得者VS金持ち外国観光客の風景にしか映らない。
以上
1. AIの普及に伴いウッキーペディアなど既存のサーチエンジン
が低迷しだした。技術革新による置換現象が出ている。
2. イギリス産業革命時、糸を作る紡績技術と糸を織る紡織技術さ
らには自動化技術がマッチングして技術革命の社会実装が起きた。100
年の期間を要している。
3. AIは既存のデータを検索する技術である。新なデータに対す
る要求が高まり、データづくりの技術革新が待たれる。まだ時
間も要する。
4.新しい技術の登場時には、置換労働が失業し生活困窮を生む。
先月のThe Economistで「ウェブサイトの災難は人間コミュニケーシ
ョンの災難(英字)」の記事が掲載されていた。内容はAIエンジンの登
場によりウッキーペディアなどのネット上のサーチエンジンへの訪問客が
軒並み減っているという内容だ。8%から酷いのになると15%減となっ
ている。
想定できる現象ともいえる。労働生産性を高める技術革新により生産性の
低い労働者が失業する。この場合は生産性の高いネット上のサーチエンジ
ンが生産性の低いサーチエンジンに取って代わられ失業する。衰退する。
市場から退場していく。
今回は、このことを18世紀のイギリスの産業革命を例にとり深堀してみ
たい。1733年にジョン・ケイが飛び杼を発明した。これが産業革命の綿
工業における技術革新の象徴的出発点となっている。
少し説明をしよう。アパレル産業の繊維の生産には原料となる糸があり、
その糸を布地に織り上げて裁断加工して製品化する。糸を作る過程で棒状
の糸巻き生産が紡績であり、布を織りあげるのが紡織である。
産業革命以前は機械でなく手織り技術であった。「鶴の恩返し」に出てく
る機織り機がこの人手による作業であった。この機織り機は、縦糸と横糸
を交差させて布地を織り上げる機械である。縦糸が交差する間に横糸を手
作業で左右に出し入れしてはたを織る。
ジョン・ケイの飛び杼(ひ)は、火薬を使いこの左右の行き来を手作業で
はなく、もっと速いスピードで左右に行き来できるように改善したもの
だ。これにより機織りのスピードが格段に上がり、紡織の生産性が高まっ
た。ところがそうとはならなかったのである。
糸を交差の織り込むスピードが速くなるにつれて、糸が切れてしまう現象
が出だしたのである。つまり織り上げるスピードに耐えうる糸の強さがな
かったのである。
次に、糸の生産技術の話である。糸は綿花綿を指先でつまんで細く引き延
ばし作られる。この時指でねじれを入れる。これが撚(よ)る作業であ
る。撚って作った糸を撚糸と呼ぶ。この撚りがないと強い糸ができないわ
けだ。
この撚糸を作る機械の発明は紡績機械技術になる。1764年ハーグリーブ
スによるジェニー紡績機、1769年のアークライトの水力紡績そして
1779年にクロンプトンの手動ミュール紡績機が発明される。実にジョ
ン・ケイの飛び杼が発明されてから40年の時間を要している。
40年間と言えば、当時のイギリスの人の寿命が30-40歳であった。つま
り生産年齢二人分の世代を要したことになる。いくら紡織機の技術が発明
されても、その原料となる紡績技術が伴わなければ、綿工業の産業革命は
実現していなかったわけだ。
更に、上記のように1779年に手動ミュール紡績機が登場するが、これが
当時並行して技術革新する蒸気技術による自動化するのが1830年であ
る。この手動紡績機の登場から、手動が自動化する期間こそが、産業革命
の技術革新の期間と定義がされる。
当時のデータでも、このように自動化が始まる1830年まではHand
Loomと呼ばれる手織り機が綿工業の主流を占めていた。1840年以降こ
の機械化した機織り機が4倍に増加し、手織り機が姿を消す。同時に
Spindlesと呼ばれる紡績機械が1830年以降倍増した。ジョン・ケイの
飛び杼が発明されてから実に1世紀以上を経ていることになる。
データ:BRITISH ECONOMIC GROWTH 1688-1959 CAMBRIDE,UNIV
もう一つ重要な史実として、イギリスロンドンの生活が、移民の流入、非
熟練労働の低所得化、低年齢児童の高死亡率などの理由で、生活困窮者が
増加し、最も低迷する期間がやはり1770年から1830年である。
紡織技術だけでなく、紡績技術が伴い、熟練労働と非熟練労働の置換が起
き始めてから、さらにそれらが蒸気技術革新により自動化し、本格的に成
熟した技術が社会実装されるまで、賃金裁定を通じて生活困窮時代が訪れ
た。
この史実を元にAI革命を考えてみよう。AIはデータのサーチスピード
を格段に引き上げた。ネット上に点在するデータを見つけ、つなぎ合わせ
て、新しいカスタマナイズしたニーズに合ったデータの検索のスピードを
格段に上げた。実際に翻訳が手軽に可能となり、検索だけでなく疑問の答
えを真偽に関係なく生成する。
しかしそれは、データそのものの生産に関する質、量を格段に上げたので
はない。データ、コンテンツの生産技術が既存のままであれば、実際のニ
ーズに対する答えは以前と大して変わらないものとなる。早くなっただけ
である。
データ・コンテンツ制作とAIによるサーチスピードのアップは、紡績と
紡織の関係にひとしい。データ、コンテンツは現在Web(ウエッブ)上
で保管されている。このWebへのサーチエンジンへの来場者が激減して
いるという内容がエコノミストの記事だ。
いずれにしても、データ・コンテンツの制作の生産向上技術が現時点では
まだ起きていない。先にAIのサーチ革命が起きたことになる。18世紀
の産業技術の紡績、紡織技術のマッチング進化に要した時間を見れば、今
のAIの技術革新は、紡織技術が登場したに等しい。紡績技術に相当する
ほんとの意味での情報革命はまだこれから先になる。
情報革命と呼ばれる技術が実際に社会実装されるのは、これからまだ数十
年かかるかもしれない。しかもこの先、イギリスロンドンの都会で見られ
た、機械化による低所得者、生活困窮者の増加、最低の下層階級社会を生
み出した時代を伴う事が想定できる。
エコノミストの記事のサーチエンジンの失業時代は、まさにこのロンドン
の都会が、移民、非熟練労働者の生活困窮者であふれ、最下層の巣窟と呼
ばれた暗黒の都市を生んだ時代への入り口かもしれない。
データ・コンテンツ、情報の本当の意味での生産性の向上となる革命的技
術が社会実装されて、それにより社会が裕福になるには、まだ何十年とか
かり、それまでの道のりは険しい「時代の新陳代謝」を乗り越える必要が
ある。
しかし産業革命による生活困窮時期を避けることなく、乗り越えたイギリ
スこそが、その後200年にわたり大英帝国、ブリタニカ帝国として世界
に君臨をする事となった。
以前から報道されていたが、名鉄がいよいよREITビジネスに参加する
(日経新聞報道より)。具体的に提携先のザイマックスREITにスポンサ
ー参加する。ザイマックスREITは東京のREITであり、名鉄のスポンサ
ー参加は残念ながら名古屋ご当地REITではなかった。
これを議論するには、遡っていろんな見地から不動産ビジネスを考える必
要がある。まず名鉄は東海地方を拠点とする日本有数の地域基幹私鉄道会
社である。
鉄道会社は国の制度会社であり、市場行動にゆだねられる収益企業とは違
う。国の様々な制度により規制された中で保護され、かつ公開上場企業と
しての収益も出す必要がある。
つまり鉄道本体事業で収益を出すことはできない。しかし、関連周辺ビジ
ネスで収益を出し上場企業として、成長する必要がある。その周辺ビジネ
スが沿線を中心とした不動産開発ビジネスである。
この不動産開発ビジネスは、沿線の住宅開発、マンション開発、商業ビル
開発、百貨店、リテールビジネス、ホテル、その他バス・自動車関連事業
等々からアミューズメントに至るまで何でもできる。
あらゆる商いが集うのが市(いち)である。この市が立つの場(ば)が不
動産である。市と場が融合して市場が成立する。つまり不動産はあらゆる
ビジネスを包含し、あらゆる収益を普遍化したビジネスである(弊社川津
商事哲学)。
東京の電鉄会社は東京市場を背景に不動産ビジネスを手掛け、大きく成長
をしているわけだ。その一方で名鉄が最近この不動産ビジネスで見劣りが
していたわけだ。
例えば名鉄百貨店の業績低迷、名古屋駅前開発の遅滞、セントレアビジネ
スの伸び悩み、その他名古屋における都市開発の低迷である。低迷と断言
したのは大変失礼に当たる言葉である。
しかし名古屋地区は全国的に見ても、収益が低い地方ではなく、本来トヨ
タを有する収益の高い企業城下町である。そこにあって競争相手の無い独
占的立場にありながら成長していないのは、ある程度の批判を受けざるを
得ない。
しかし、近年、名鉄都市開発を前面に出し、東京の不動産ビジネスの最前
線にあるザイマックスと強い関係を持ち、不動産ビジネスのテコ入れを行
っている。例えば、神宮前(熱田さん)の商店街開発などその効果はすで
に出ており積極的な戦略が高い評価されつつある。
名鉄は名古屋で有数の商業・住居に限らず不動産資産を所有している企業
である。今不動産ビジネスの最先端は、不動産資産を保有して収益を得る
ビジネスではなくなっている。不動産の保有と関与・支配の分業が起きて
いる。
保有でなく強い関与で高い収益を目指す。新しいビジネスで高い収益が可
能な市場整備が求められる。名古屋がそれだけの先端不動産投資市場にな
る必要がある。そのためにご当地REITなどが必要になるわけだ。
分業が起きることは非常に重要なことである。例えば18世紀イギリスの
産業革命で起きたことは、資本と労働の分業である。分業とは、そもそも
アダムスミスが啓蒙した国富論に「分業することにより技術進化が起き、
それが高度な収益を生む。」とある。
産業革命が、分業により起きた機械の技術進化によって大きく成長したこ
とは歴史的史実である。今不動産ビジネスの最先端も資産の保有と関与
(エンゲージメント)の分業により市場全体が高い収益を生む技術革新
(不動産テック)開発に向かっているわけだ。名古屋が乗り遅れてはいけない。
更にいろんな事情が関連する。例えば名鉄など優良企業は、保有する資
産総額が非常に巨大になりつつある。当然減損会計基準でリスクが企業コ
アの財務に影響する。不動産などのリスク資産を企業のコアの財務からオ
フバランスする必要がある。
とはいえ日本の文化は、古くからある遺伝子を育んできた不動産を売るこ
とは感情的にできない。新しい社長と言えども簡単にはできない。そこで
オフバランスはするがその後も強い関与をイ維持し同時に、リスクを持た
ず高い収益を上げる。これがエンゲージメントビジネスである。これが日
本のREITおよび私募ファンド、最近の胡散臭い私募REITビジネスであ
る。
REITビジネスは、まさに保有する一般投資家の拡大ニーズに対応しなが
ら、スポンサーとしてビジネスに関与するエンゲージメントビジネスだ。
(J-REITはスポンサーがエンゲージメントビジネスを独占しやすい制度と
なっている。)。
名鉄がザイマックスから、これらの新しい不動産ビジネスのノウハウを吸
収しようとしている真摯な姿勢がうかがわれるわけだ。ただ残念なのはま
だ名古屋のご当地REITの生成に至ってない。ザイマックスが運営する
REITは東京資産の運用であって、名古屋、名鉄の資産ではない。これに
1000億円投資を目標としている。
弊社は以前から名古屋地場REITの必要性を説いている。REITは公開上
場である。これが名古屋にあれば、名古屋の公開ベンチマークになる。ベ
ンチマークができれば投資の基準となり、さらに大きな投資の誘致が可能
となり、名古屋の不動産投資市場が開花する。名鉄がスポンサーになるご
当地REITが、一番信頼性があるわけだ。
ただ今回の出資は名鉄らしい、名古屋らしいともいえる。名鉄は1962
年、犬山遊園にモノレールを開発し、そのノウハウをもってオリンピック
開催前の今の東京モノレールの運用に参加した。現在は手を引いてしまっ
た。名鉄は決して名古屋に閉じこもらず、外に果敢に打って出れる企業体
質がある。
近年の事例では、名古屋資本の中日新聞が東京新聞に資本参加した。名古
屋資本は決して地元に閉じこもることなく、東京に進出する野心が非常に
高いところだ。
一方ザイマックスにもいろんな事情があるのではないだろうか?ザイマッ
クスは前出の分業不動産ビジネスの技術革新の最先端のノウハウをもって
旗揚げした企業である。しかし独立系であるがゆえに資本が細い。あくま
で邪推であるが、今更東京の資本にすり寄ることはできないはずだ。資本
ニーズのマッチングが可能な関係だ。
もう一つ懸念を言えば、日本の不動産投資では東京、大阪、名古屋、福岡
の分散投資はリスク分散の効果がない。これは理論的に証明されているこ
とだ。むしろ地域集中型で効率のいい運用が効果を上げる方が効率的だ。
名鉄のスポンサー出資で東京、名古屋の分散投資を考えていると結果が出るかどうか懸念がある。
いずれにしても、名鉄資本とザイマックスの提携による化学反応は期待で
きるが、不動産ビジネスと距離を置いてしまった名鉄本体がどれだけザイ
マックスのやり方を許容できるか?これも懸念がある。
以上が第三者から見た、最近不動産ビジネスのトレンドを背景とした今回
の名鉄の不動産戦略の解説である。
これからの名古屋の都心戦略は、交通コネクトビジネスにある。日本の中
心にあり、陸海空の交通の要所でもある。これを有効につなげることは非
常に大きな都市戦略となる。その要が名鉄にある。それができれば名古屋
の盟主として君臨もできるはずだ。
都市の生成は、商業理論から言えば、どうしても通り過ぎることができな
い魅力がある事だ。名古屋がこの魅力をどれだけ出せるか?リーダーシッ
プの見せ所である。
名鉄都市開発がご当地の不動産ビジネスのリーダーとし戦闘状態に入って
いる。決して褒め殺しではない。期待である。
以上
名古屋ビジネス情報、 不動産、 街づくり、 地価、 都市経済、 投資利回り、 金融、 、 、 、 、 、