ニュースレター
主筆:川津昌作
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AIエージェント
〈2026年4月10日〉
実は今回のニュースレターは、年初に用意された草稿であった。その後中 東での戦争が激化したため、戦争をあおる事になる表現があり、お蔵入り したものである。そういった前提で読んでいただきたい。
お蔵入りしたものを再配信する理由が重要である。かつてコロナ禍の2 年はまさに社会を大きく変えるパラダイムチェンジとなった。しかし今起 きているAIチャットからAIエージェントへの進化は、もっと短い期間 でもっと大きなパラダイムチェンジを起こそうとしている点を問題提起す る目的である。戦争兵器を肯定するものではない。
未だに旧バージョンのAIチャットを使うかどうかを議論している人達は いよいよ置いてきぼりになるのではないか。今AIエージェントで新しい ことをしようとしている人がこれからの社会エーゲンジメントの主役とな るだろう。
簡単に説明すれば、AIチャットは仕事をどうやったらいいか?都合のい い答えを引き出すものである。AIエージェントは仕事を実際にやらすも のである。以下お蔵入りしたニュースレターである。
今回は、戦争が足音を立てて近づいてくる世相を、イラン戦争を例に考え てみました。決してありえないことをあおる目的ではなく、AIの進化 を、戦争を通して説明するとどうなるかを議論したつもりです。
今のイラン戦争は、時代のパラダイムチェンジの象徴になるくらいのイン パクトが感じられる。少なくともこの戦争は、AIを組み込んだ兵器体系 が、従来の抑止や防衛の前提を大きく揺さぶりうることを顕在化させた。
AI搭載ドローンと既存の防空・火力体系の統合運用が、イランと言う歴 史のある中大国の防衛能力を短期間で壊滅させうることが示されたなら、 それは核使用そのものではないが、かつての核兵器登場期に匹敵するほ ど、戦争の実装様式を変える転換点になるように思える。
現在の核兵器を実装している超大国が、これから核開発を行い、過去保有 国の仲間入りを目論む国に対して示した明確な警告ともなろう。AI兵器 の社会実装による新たな覇権争いであり、倫理観と覇権が再び天秤にされ ることを意味する。
つい最近まで、約1年余あまりチャットAIの社会実装が、社会関心・論 壇の中心であった。あっという間チャットAIからエージェントAIに移 り、戦争でエージェントAI搭載のドローンが実装された。
「エージェント」の概念を説明しておこう。まずエージェントとして、単 純にプロスポーツ選手の代理人、旅行代理店のようなイメージをしてほし い。本人に代わって様々な行為手配を代理する業務だ。
更に、古くは「執事」、日本で言えば「番頭」をイメージしてほしい。状 況を観測して、選択肢を作り上げ、実際に契約行為にまで代行し、更にそ の成果を評価し、自分のおかれている環境社会にフィードバックする。
このエージェント行為を、AIのアルゴリズムがすべてあらゆる状況情報 をビックデータで精査しながら行為を代行行使し、その成果を社会に影響 をもたらす。これがAIエージェントである。
執事、番頭は行為の自己評価まででしかないが、AIエージェントはその 反復性から、社会へのフィードバックが強く、社会をコントロールする主 たる関与になって行く。
昨日までChatGPTは、多言語のチャットを可能にしたものでしかなかっ た。いよいよ行為まで代行するようになる。消費者の身近な例では、自分 に合ったほしいものを探すまでがチャットである。実際に代行して買って くれるのがAIエージェントである。このようなAIエージェントの開発 競争が今起きている。
このAIエージェントのリスクは、人の意に反して人が制御できなくなる 行使がなされると、人の制御を超越して相手への攻撃を代行してしまうリ スクだ。いよいよ、実際に人が制御できなくなるかもしれないAI時代の ドアが開いたことになる。
しかし本質的には核拡散のリスクが高まっている社会で新たなインパクト をもたらしているように思える。まず今回のイラン戦争で起てると報道さ れていることは、従来の超大国の核保有国に対する中大国の新たに核保有 国になり上がろうとする群雄割拠が背景で起きていた。
イランもその一つであったかもしれない。核が拡散すれば超大国の覇権は 消えてしまう。しかしその核保有国成あがり国の核施設・防衛システムを AIエージェント搭載兵器で消滅させてしまった。これは明らかに新たな 超大国の覇権の顕示である。
過去の核爆弾の開発拡散において、もし倫理が覇権に勝れば、核爆弾の社 会実装は起きなかっただろう。しかし社会は覇権による統治を合理的かつ 生産性の高い手法として、倫理観に蓋をして核爆弾の社会実装を進めた。 と言っていいだろう。
それを超大国の傘下の同盟国が支持したのである。核による抑止力という 覇権が機能することで、自国を取り巻く社会の便益が確立するという発想 だ。倫理より覇権が優先された。今回のイラン戦争にさかのぼる事1か 月前に、アンソロピックAIエージョンと米政府との衝突が新聞紙面を飾 った。
アンソロピックは倫理観を前面に軍事利用を拒否した。これに対して米政 府がアンソロピックへの排除圧力を強めた。このアンソロピックの Claudeが今ChatGPTを凌駕して普及し始めた。AIエージェントと言わ れている。
倫理観が大きければAIエージェントを軍兵器に解放した世界覇権争いは 阻止される。AIが人の制御を超越するリスクは少なくなるだろう。新た なAI兵器戦争も起きにくくなるかもしれない。しかし覇権が無ければ核 拡散のカオス状態の社会となる。かつて世界の警察と呼んだのは覇権を意 味していたはずだ。
日本も含め西側先進諸国はアメリカの覇権を支持し、覇権の傘に参加して きたことも事実である。倫理観より覇権による秩序を優先してきたと言わ れても否定できない。今又AIエージェントによる分水嶺にあるわけだ。
資本市場を通じてアメリカに集まった資金で、新たな覇権の再構築を意図 している。アメリカは今回の戦争でAIエージェントを実装した分他の覇 権国家より先を進んでいる。実装とは実際に使用したことだ。日本にとっ ては悲しい出来事であったが、核兵器は実際に使用されたことで覇権を確 立した。
アメリカ政府の戦略の特徴はスピード感を重要視していることだ。技術の 開発以上にその実装環境の整備にスピード感をもっている。それが再覇権 の再構築となっている。他国に先駆けて核兵器を使用し、AI兵器を使用 している。 以上お蔵入り草稿。
残念ながら日本はその2周くらい遅れている(戦争参加ではない。)。3月 10日の日経新聞掲載の「経済教室」と「エコノミストのコラム」を読み 比べてほしい。日経経済教室は当代日本を代表する先端頭脳の論者であ る。しかしエコノミストのコラムにたいして明らかに周回遅れだ。
今世界はイラン戦争を通じて、AIエージェントと言う技術進化にたいし て、倫理観に蓋をして覇権争いをしているといえよう。我々自体が新時代 のエンゲージメントに参加できるかどうかの分水嶺にある。
実社会では既に大手計算ソフト会社が一瞬にして企業価値を棄損してしま った。始まりではなくすでに起きている事象である。アンソロピックの AI Claud は一瞬にしてパスコードを書いてAIを回すことを可能とし てくれる。 あなたがこれを理解でき使え新しいことができるかどうか? これがAI時代で失業するかしないかの分水嶺である。
以上
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