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主宰:川津商事株式会社
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消費税便乗値下げ!!

〈2019年8月15日〉

残暑お見舞い申し上げます。最近の英字新聞から、地球上に1兆 本の木を植えるのが今の地球温暖化問題に対し最も効果的な解決策 であるという研究が紹介されている。現在の耕作地、居住エリアを 破壊することなく、現状木を植えることが可能なエリアから割り出 された植林可能な1兆本の植林によって、現在のエミッション (排出)の三分の二を吸収できるとしている。

暑い中、夏休みをとって十分にご自愛ください。今年も休みを利用 して炎上覚悟で少々ぶっ飛んだ内容になってしまいました。最初に お詫び申し上げておきます。

消費税便乗値上げ!ではなく消費税便乗値下げ!を議論します。現 在、Jリート指数が2000を超え、リートの好調が維持されていま す。これは日本の不動産市況を意味するわけですが、上場リートが 保有する物件の8割型は東京の物件である。

言うまでもなく、東京は現在2020東京オリンピックに向けて景況 感が高いところに維持されたままである。それを象徴するのが東京 の不動産市況でもある。大量の大型再開発物件が供給されても、空 室率が有効なレベルで推移している。

その結果、東京では賃料も高値で維持されている。売り手市場で賃 料交渉もままならぬ状況である。ところが地方に行くと、これは全 く逆になる。新規供給が無いにもかかわらず。空き室も多く、おそ らく前のバブル崩壊以降賃料が下がりぱっなしのところが多い。

今東京以外の地方都市で、大手企業による賃料の値下げ交渉が頻繁 に起きている。市場で一体何が起きているのか深堀してみたい。

東京以外の地方都市の話である。ある日突然、テナント企業から契 約移動事項の通知が郵送される。最近頻繁にある企業のM&Aによ る親企業が変わる通知である。それまでの賃貸契約がそのまま新し い企業に継承される旨の通知である。

テナント貸主側にとっても特に契約に移動事項が生じるわけではな いので、通常普通に了承される。この様な企業の買収は、上場大企 業だけでなく、中小で業績がいいテナント、悪いテナントも含めて 見られる。アベノミクスにより異次元の金融緩和で、市場のクレジ ットが緩み、金余りの中で企業の買い手も安易な買収が多くみられ る。

中でも、買い手が“何とかホールディンクス”になるケースがあ る。いわゆるファンドによる買収である。いうまでもなく金融ファ ンドのマネージャーの関心は企業価値(株式価値)であって、地域 の経済活性化、社会的意義は、はなから関心が無い。

彼らが、企業買収を行って最初に手を付けるのが経費の削減であ る。もうここまで来ると読者の方はほぼお分かりだと思うが、ファ ンドは、現地のオペレーションに事態に直接口出しすることはあま りない。しかし全体として従業員の削減、取引先の取引条件の改 定、そして賃料などの固定費の削減に強く口を出してくる。

そんな中で、賃料削減のやり方を紹介しておく。ある日突然カタカ ナ名企業の“何とかソリューション”という企業から、今度何とか ホールディングスの依頼で、弊社との御社の不動産賃貸契約の代行 を行うことになりましたという通知がやってくる。

業界の人はご存知の“不動産代行会社”である。従業員の赴任先の 賃貸マンション契約を、特に上場企業になると、自社の代表者名で 直接行うことを嫌う。その代りを代行会社が行う。大企業では従来 従業員の住宅は人事が一括して管理するが、人事と言えども不動産 には疎く非常に厄介な案件であった。そこで代行会社に丸投げす る。

それら煩わしい業務を代行するありがたい代行会社が今増えてい る。企業にとって厄介な不動産問題を解決するソリューションを提 案する新しい不動産ビジネスこそが、上述の“何とかソリューショ ン”会社である。

ソリューションビジネスは、もともとバブル崩壊による不良債権な ど、処理できない不動産案件を解決するビジネスとして生まれた。 最近になり、資産を持つのではなく、シェアするいわゆる借りるビ ジネスに代わり、アウトソーシングによる不動産契約を多く抱える 企業の増加に伴って、このようなソリューションビジネスがますま す急増している。

この代行会社が、大手企業あるいはファンドに売り込みをし、煩わ しい不動産契約ごとの一切を引き受けますというビジネスを展開す る。しかしそれだけでは余分に経費がかかり、経費を削減したい、 起業、ファンドには面白くない話でもある。

そこで、ソリューションビジネスは企業が抱える賃料の見直しを提 案し、実質経費がかからず、もしくはそれ以上の経費削減を獲得し て、いわゆるウインウインのビジネスとなるわけだ。

代行会社は、契約年数を見てその時代の経済成長、物価指数など適 当な指標と比べて、賃料下げの材料を探し、賃料が不適切であると いう文章を東京から郵送するだけである。地方の経済指標が劣化し ているから簡単にできる作文だ。不動産の有識者でなくとも、ちょ っとした経験者であれば適当なことを書ける内容である。

さて、これを受け取った地方のテナントビルはどうするか?問答無 用な話になすすべがなく、結論を言えば適当な落としどころを見つ けて問題を解決するしかない。上手な代行会社は、貸主を生かさず 殺さずそれころ適当な落としどころが見つかれば、それでよしであ る。

地方の弱小テナントビルからすると、まず東京の不動産市場の好景 気はそれこそ異次元の話だ。このような市場景色の背景には、金融 資本の増加によりファンドビジネスが横行し、金融的価値にのみ関 心が高まり、実際のオペレーションはアウトソーシングするという ビジネス景色がある。

金融的価値とはどういうものか?彼らは、いくらオペレーションで 利益を上げても、保有する資産の評価価値などの減少で金融価値を なくすことを非常に嫌う。逆に株価の上昇、資産評価の上昇で大き な利益を上げれば、オペレーションでの利益にはそれほど関心が無 いわけだ。従業員がSNS上で炎上する失敗をやらかすなどのオペ レーションの失敗を一番嫌う。

その象徴が、ライザップである。ライザップは外部の企業をどんど んM&Aし、そののれん評価で利益をかさ上げして株価を上げてい った。この企業戦略は本業のオペレーション戦略とはかけ離れてい た。オペレーションに関心が無いということは、地方の現地での地 域貢献はもとより、現地社員の活動、取引先との関係等等は当然な おざりになる。その結果の賃料下げ通告である。

さて表題の消費税便乗値下げであるが、消費税には直接関係ない。 しかし時期的に消費税による様々な経費見直しに合わせて、賃料の 見直しをしませんか?が代行会社のセールストークである。

昔からソリューションビジネスは、別名東京ビジネスである。例え ば地方の不良債権の物件はすべて東京に集められて、バルクセール される。それらは東京の不動産業者から地方に売り物件として出さ れる。現地の不動産業者は蚊帳の外だ。瑕疵担保なし、境界非明 示、仲介禁止、内覧1日だけという高飛車な物件情報がファック ス一本で流されてくる。

金融資本、ファンドビジネス、ソリューションビジネス・・・。こ れらが最近のビジネスモデルである。そしてこれらを監督する金融 行政もすべて東京ビジネスである。地方からすれば、地方分権では なく東京分権にしてほしいという声が聞こえてくる。

以上

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