ニュースレター
主筆:川津昌作
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そう言った事を十分にご理解したうえで、ご参考にしていただきますようお願い申し上げます。
「東証プライム、進む選別」論評
〈2024年4月15日〉
今回も日経新聞記事よりテーマを拝借する。4月9日朝刊掲載の記
事である。東京証券取引所の改革で1部上場株をプライムとスタン
ダードの選別した改革のその後の効果を論じている。
弊社では、当初東証の改革を、プライム市場とスタンダード市場と
の優先劣後の名称の付け替えだけで、改革の実効性に期待できない
論調を当ニュースレターで展開してきた。
しかしその後、PBR1倍ショックと言われる市場のターンアラウン
ドを経て、上場企業と言えどもゾンビ企業のあぶり出し、退場が始
まっている。市場の良好な新陳代謝が始まったのである。
日経新聞によると、プライムの上場基準では、流通株式時価総額1
00億円以上、流通株式比率35%以上などの基準に対して、満た
せず経過措置企業300社のうち、110社が達成、190社が未
達成で退場となったとしている。
従来の日本の文化では見られなかった、市場(プレミアム)からの
大量退場が起きたのである。もちろんプライムであるからゾンビ企
業ではない。最優良企業が退場して優良企業に格下げになったので
ある。
市場の量的拡大から質の成長に舵を切りだしたことになる。なぜこ
れができたのか?が論点である。結論は景気が良いからできたと考
えられる。足切りをすることができるだけの体力が、今日本経済に
生じていると考えられる。
さて今、コロナ禍に行われた中小企業緊急救済政策であったゼロゼ
ロ金利融資が返済時期を迎えている。これも新聞報道では、返済停
滞が増加しているようだ。
従来の考えでは、上場企業と地域の中小企業を同じ土俵で論じられ
ない。その結果徳政令なる物が復活して、返済不能を何かの手立て
手で救済し、またまたゾンビ企業の増加となると予想されている。
景気が良くなりつつある今こそゾンビ企業退場のチャンスだろう。
コロナ禍の景気が悪い時にゾンビ企業の大量退場を行えば、市場自
体が死に体になってしまっていた。そこでゼロゼロ緊急融資がなさ
れた。そしてこの融資によって延命したビジネスプレイヤーが、今
景気がいい時に退場することは極めて健全な市場機能である。
日本は、少子化問題に対して無理のあがない、経済成長の拡大維持
を選択するのではなく、ある程度の縮小を容認している。量的拡大
を修正して、質的拡大を目指ことになる。
ただしそのためには、それによって退場したプレーヤーたちの敗者
復活市場が必要になる。
戦国時代から江戸の天下泰平時代に移行する過程で、それまでの戦
争恩功経済の拡大から、幕藩体制による藩の内生経済が進み、経済
の縮小安定が図られた。
しかしその過程で、徳川を敵にした藩、改易された藩の臣、陪臣の
多くが浪人となり、江戸市中にあふれ、やがて幕末の不満の爆発に
つながっていくことになる。増え続ける浪人たちのリベンジが必要
であったわけだ。
資本主義経済では、経済の新陳代謝は成長エンジンそのものであ
る。低成長のゾンビ企業をいつまでも温存するのではなく、新しい
成長企業を再生して、常に高い成長を標榜することが資本主義の本
質である。
これにはゾンビ企業を市場から退場させると同時に、彼らのリベン
ジする機会を作ることが必要となる。リベンジ機会の創造こそ規制
緩和である。岩盤権益で市場の門戸を占め、新規参入を締め出し、
既得権を独占する企業こそが真正ゾンビ企業である。
過去に、規制緩和をして、新規参入機会の創造した政権は必ず浮上
し、かつ後世に名を遺してきた。郵政改革の小泉政権、国鉄民営化
の中曽根政権、異次元の金融緩和の安倍政権等々。
ちなみに小泉政権下では、東京都心の容積率の緩和を行った。これ
も規制緩和であり、多くの新たなリスクテーカーが生まれ、当時平
成のいざなぎ景気越えと言われる戦後最長の好景気につながった。
今ある東京都心の高層集積商業ビルの多くが、この時に建てられた
ものである。小泉政権の市場評価を考えてみてほしい。
今の政権が、政権の浮上を言いながら、なぜ規制緩和を全くせず、
岩盤権益のゾンビ企業に寄り添いつづけるのか理解できない。この
まま政権の地盤沈下は、日本経済を混乱に落とししめるだけで誰も
望まない。
日本の財政支出政策は、ある意味新たな利権の創造でしかなく、リ
ベンジの機会創造となっていない。
ただし、副作用もある。機能表示初期品であるサプリメント市場
は、ある意味規制緩和による新たなビジネス機会の創造であった。
しかし今回残念なことに食品事故が起きてしまった。
マスコミは国の責任を問うべき論調を取ってしまっている。規制緩
和反対の理由を与えてしまっている。これによってせっかく育った
規制緩和ビジネス市場が委縮してしまわないことを願うばかり
だ。
以上
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