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主筆:川津昌作
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名古屋駅前エリアと栄エリアの商圏の違い
〈2024年10月25日 2025.1.10加筆修正〉
いただいている質問に答えておきたい。新しい中日
ビルが竣工し、名古屋栄の松坂屋が店舗大改装を行う。これら一連
の最近の栄エリアの再開発によって、今後名古屋駅前のJR東海高
島屋に対し、松坂屋が売り上げで迫る巻き返しがなるか?と言う質
問を受けている。
私どものあくまで私見ですが、今栄起きている個々の再開発による
一時的な巻き返しは起きるが、長期的には、まだまだ差は開くと考
える。名古屋駅前の高島屋と栄の松坂屋では、根本的に商圏の大き
さが違う。この商圏の大きさが縮まらない限りまだまだ差は広が
る。
それは名古屋駅前エリアと栄エリアのエリア間競争の趨勢も同じで
ある。名古屋駅前エリアは再開発の余地がなくなりつつある。一方
栄は再開発の余地がいくらでもある。しかし再開発のいかんにかか
わらず、今の名古屋駅前が持つ商圏と栄が持つ商圏の大きさには大
きな開きがある。
名古屋駅前エリアが持つ商圏の方が大きい。この問題が解決されな
い限り差は縮まらないと考える。JR東海高島屋は創業当時、全国
百貨店店舗10位であった。それが今や3位である。日本のガリバ
ーと言われる新宿伊勢丹、梅田阪急百貨店の背中が見えるところまで急成長
した。東京、大阪、名古屋の三役が出来上がったことになる。
百貨店史上まれにみる成功例である。
名古屋駅前エリアの商圏は、JRの民営化の経営効率、それに競争
的に進化した名鉄の運行スピードアップ等々、都市間交通システム
の生産性の進化に触発され、今や、名古屋駅につながるJR、名
鉄、市バス、地下鉄を通じて、愛知岐阜三重東海三県に広がろうと
している。
言うまでもなく、名古屋駅は新幹線の中核駅である。当然インバウ
ンド効果も高い。インバウンドの最近の傾向は、岐阜高山、奥飛騨
温泉郷を拠点に宿泊して、北陸、大阪、京都、名古屋周を観光する
人たちがいる。名古屋は泊まることなく素通りだと批判されるが、
鉄道の結節点で少なからずインバウンド効果はある。
JR東海高島屋には、インバウンドにだけ頼らない企画力がある。その実例が
2月のバレンタイン商戦であるアムール・ショコラである。約2っ
か月で2フロアーあまりで40億円売りげるビッグ商戦だ。東京初
めいろんな百貨店でまねた商戦を展開するが、全く太刀打ちできない。
核となる商業施設に市場の実効性があり、それにお客を送り込む交
通システムの生産の向上がマッチした結果が、今の名古屋駅前エリア
の商圏の成長を支えている。
一方の栄エリアは、名古屋市およびその近郊の市バス圏、地下鉄圏そ
して自動車来客者に依存した商圏エリアでしかない。と言っても名
古屋の富裕層を抑えていることは栄の大きな利点ではある。しかし
これも規制権益でしかない。そもそも商圏の規模が違う。
言うまでもなく名古屋経済圏は自動車モビリティのインフラ整備が
日本でもトップクラスで進んでいる。その恩恵を当然栄エリアも享受して
いる。しかし次世代モビリティ時代への道のりはまだまだ険しく
現在の自動車来客が格段に増加する要素は見当たらない。
この打開策が、栄を通る名古屋駅、栄、三河をつなぐ高速の新都市
間交通システムの整備である。名古屋駅、栄、豊田を30分でつな
げるような、弾丸列車である。しかしその構想すらない。
最近、実は名古屋の地下鉄には昔から延伸計画があるが、それが一
向に実行されない理由として、周辺エリアの人口縮小方向にあり採
算が計画にそぐわないという話があった。
名古屋市エリアだけの周辺人口数の乗降者数だけで、交通システム
の採算を計画すれば、当然ダメとなる。これは地域の生活交通シス
テムの発想だ。市バスの延伸と同じレベルの話である。
都市間交通の効果を考えると、それによる栄エリア、さらに名古屋
駅エリアの収益性向上、地価の上昇、固定資産税の上昇、更に法人
税収の上昇を考えればおのずと答えは出てくるはずだ。
固定資産税上昇は名古屋市に恩恵となり、法人税収入増は愛知県に
恩恵となる。
名古屋市は名古屋経済圏の核である。名古屋経済圏は名古屋市内だ
けではない。名古屋市は周辺都市との都市間交通に責任を持つ必要
がある。名古屋市、愛知県、名古屋経済財界が足の引っ張り合いを
することなく大きな利益にシェアを認知し合うことが求められる。
2025.1.10 加筆修正
以上
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