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主筆:川津昌作
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三菱 三井 名古屋資本三つ巴の新名古屋中心街

〈2024年12月20日〉

名古屋駅前の名鉄ビル群の再開発が動き出した。名古屋の有識者が 一斉に、名古屋駅前・三井不動産連合vs栄・三菱地所連合の様相 を呈し、名古屋駅前エリアと栄エリアのエリア間競争が、所謂三 菱、三井の代理戦争になると言う話題で盛り上がっている。

その一方で、金山駅周辺において、にわかに名古屋地元資本による 再開発の期待で盛り上がってきた。実際金山エリアの賑わいは、ア スナル金山を中心に継続して維持している。

名古屋駅前エリア、栄エリア、金山エリアが、エリア間競争の三つ 巴となる風景は名古屋経済が望んでいたものではないだろうか?

名古屋駅前エリアは、そもそも戦後から三井不動産と三菱地所が入 り組んだエリアである。桜通りを挟んで北が三菱、南が三井であ る。今に至るに、名古屋駅北側は郵政、大名古屋ビルヂングにより ある意味完成域に達している。

そして名古屋駅以南が三井ビル、三井系ホテル、そして同じく三井 系のトヨタが陣取るエリアである。そして名鉄の再開発が三井に近 づけば、より三井色が強まることになる。名古屋駅前エリアはいず れにしても三井、三菱、トヨタ、JRと言う東京・非名古屋資本に 飲み込まれながら発展している。

これに対して、栄エリアはかつて名古屋資本のエリアであった。特 に、久屋大通公園は名古屋の行政資本であり、この大通公園沿道に 名古屋地場の資本の不動産施設が配置されている。

バブル経済以降、グローバル化、資本の自由化に伴い、地方の衰 退、東京一極集中が加速する中で、衰退する栄の名古屋行政・地場 連合資本が拡大追加資本投資できず、栄経済の停滞をもたらしてし まっていた。

まず久屋大通公園の再開発が、地元行政資本から手を離れて、民間 資本による再開発が始まり、栄エリアが大きく動き出した。この久 屋大通公園の再開発は三井不動産であった。しかしここへ新たに三 菱系のコンラッドホテルが、栄のど真ん中にランドマーク的な再開 発を完成させようとしている。

しばらく栄の話題は、このコンラッドホテルの三菱の再開発を中心 に動いていくと予想される。これが巷でうわさされる、名古屋駅前 vs栄エリアが三井三菱の代理戦争になると言う、面白おかしい話 題である。

その一方で、金山駅周辺がプチ再開発の話題で盛り上がってきた。 アスナル金山を中心とした金山駅周辺のグランドデザインが名古屋 市から出された。アスナル金山エリア再整備実施方針(案)。出さ れたと言うことは、市も行政資本投資に本腰を入れることを示した ことになる。

金山は、セントレア(中部国際空港)開設以降、名古屋のゲートシ ティーとして新たなるポテンシャルを育んできたエリアである。名 古屋の副都心とまで言われているエリアである。行政の関心が栄か ら金山に移ったと考えてもいいだろう。

金山エリアは、名古屋駅ほど東海地方の基幹インフラでなく、栄エ リアほど高級感を必要とする商業エリアでもない。地域生活者によ る拠点エリアである。仕事帰りにちょっと一杯ひっかけれるサード プレースである。このエリアに名古屋の行政資本が参入することは 理にかなっている。

そしてこの名古屋駅前エリア、栄エリア、金山エリアが3極とな り、名古屋の繁華街を形成することも又理にかなっている。将来的 には、金山から大須を経て栄へさらに延伸して名古屋駅エリアにつ ながるライトレールの可能性を構想できるポテンシャルが考えられ る。

もっと近い将来として、この名古屋駅、栄、大須、金山ラインで名 古屋の観光戦略も考えられる。「名古屋めしグルメライン戦略」で ある。金山以南には熱田の森があり、名古屋駅以北には名古屋城が ある。インバウンド戦略の拡張性もあるわけだ。

名古屋駅前エリア、栄アリアで起きている東京資本同士のエリア間 競争による活性化が起き、その一方で金山での名古屋資本の投資の 活性化が起きることにより、これら3極の内側が名古屋経済の新 たな中心市街地を形成する姿は、理にかなったものである。

来年以降の議論に大いに期待したい

以上

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