ニュースレター
主筆:川津昌作
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日経記事「資金繰り巡り波乱含み」
〈2025年1月10日〉
新春松の内、日経紙の地方版に表題の記事が掲載された。的確な指
摘である。今中部経済が抱える非常に重要な構造的問題である。
今回の議論の要点
1. 名古屋経済圏の金融市場は、多様な不動産ファイナン。
2. スニーズに応えられるシステムになっていない。
3. 都市開発など新しい地元で資金が回るファンド市場の創設が重要。
4. そのためには地元の投資家を育てる必要がある。東京
5. 資金をあてにする金融システムではだめ。
バブル経済崩壊後、都市銀行の再編つまり東海銀行が看板を下ろし
て以来、地方都市の経済を支える地域金融システムが低迷してしま
ったままである。
例えば、名古屋の駅前、栄の中心街で大きな再開発プロジェクトが
起きたとする、それにより華やかなランドマーク化した施設が登場
する。そうなると今度は、その周辺に波及効果が起き、周辺の老朽
化したビルの再開発が期待されなくてならない。
名古屋の都心部で10階から15階の中高層の商業ビルを建て替え
ると、軽く10億円を超えてしまう。今の建設費高騰では20億円
超も想定される。この10億以上の資金を単行でファイナンスでき
る地域金融機関がどれだけあるか?地方銀行の過小資本問題であ
る。
名古屋の過小資本の地銀クラスで、はせいぜい耐震構造改修の1−
2億円の融資が限界である。10億円以上の不動産投資になるとか
なりの重要案件になってしまう。
もちろんメガバンクなら問題ないが、メガバンクは地域経済に深く
かかわらない。地銀でももちろん可能であるが、それは地元名主か
何か理由が無くては動けない。一般中小の事業者相手にはなかなか
むつかしい。
資本力の問題である。もちろん景気がいい時には資本力の脆弱な地
銀クラスでも動けるが、不動産投資はむしろ景気が低迷したときに
こそファイナンスが必要になる。十分な資本力な無ければ動けれな
い。
昔の名古屋経済は、東海銀行が地域のリスクをファイナンスしてき
た。東海銀行は、地域の金融機関として資本力のある銀行であっ
た。今ではグローバルに資金を運用するメガバンクである。
以上の議論は弊社が10年以上前から指摘してきた問題である。そ
の10年後の今どうなったか?不動産投資は、民間投資だけでな
く、地域の行政資本、社会インフラをも補完機能する。これらの不
動産投資が名古屋経済で低迷した。その原因の一つがファイナンス
の脆弱のツケであった。
このように名古屋の金融システムを断罪すると、金融機関から「い
やうちは対応できます。」と言われる。しかしそこには、企業事業
体信用に対するファイナンスの延長でしかなかったり、相続対策ブ
ームで市場需給に関係なく過剰に融資してしまう無責任さが問題化
してしまっている。
不動産ファイナンスのトレンドは事業主ではなく、不動産資産その
ものの信用に対するファイナンスである。不動産融資は長期にわた
り、かつその間再投資が必要であり、時には資産の流動性が必要で
ある。
明らかに一企業に対するファイナンスとは違う。従来は企業ファイ
ナンスでもよかったが、今起きている不動産ファイナンスの多様化
には、国の制度で守られ規則を変えられない金融機関の従来の企業
ファイナンスではついていけない。
しかしこの地方金融機関の不動産ファイナンスに対する脆弱性は、
一方で東京一極集中が起きており、名古屋にかかわらず、すべての
日本の地方都市が抱える問題でもある。
東京では不動産投資は益々深化し、ニーズも高度に多様化してい
る。この不動産投資に多様化したニーズ、不動産投資、再開インフ
ラ投資の特有のリスクファイナンスの波及に、日本の地方の制度金
融システムは全くついていけてない。
にもかかわらず、地域金融機関の方も金余りの時代、仲介金融だけ
では経営が成り立たず、多様な収益を求めて経営の多様化を目指し
ている。子会社で不動産投資をする機会も増えてきている。
いずれにしても、東京に比べ、名古屋は民間再投資を含めた社会イ
ンフラとなる不動産施設の開発がまだまだ低迷している。名古屋で
は直近10年で新しい交通システムも整備されていない。行政資本
の社会資本整備も目立たない。
これだけ健康、スポーツビジネス市場の成長を見ながら、先を見越
した新しいスポーツ関連施設も整備されてこなかった。当初からわ
かっていた2026年のアジア大会の開催関連施設も、今になって整
備できず大騒ぎとなってしまっている。
最近急成長しているバスケットのBリーグに、愛知県は多くのチ
ームが存在している。その中のファイティングイーグルスはホーム
アリーナがなかなか定まらず年々転戦している。適したアリーナが
不足しているのである。
以上前置き議論である。さて表題の件であるが、名鉄が整備を進め
ようとしている構想は、巨額の不動産投資である。しかもこれまで
の東京資本、広域資本である三井、三菱、トヨタ、郵政とは違う。
名鉄である以上、地域つまり名古屋経済のファイナンスマネーが機
能することが期待される。しかしそれが名古屋の地域金融システム
の脆弱さから、ついていけていない問題を露呈したわけだ。
これは単に名鉄と言う一企業の問題だけではなく、名古屋の都市経
済がもっと早くから継続してコツコツと不動産投資、社会インフラ
投資を進めなくてはならなかった問題であり、都市経済としての財
務戦略が全くなかった問題である。
今考えなくてはならないことは、名古屋も地域経済を再開発するた
めの新しいファイナンスシステムの構築である。地域私募ファン
ド、ご当地REIT市場の整備である。名古屋証券取引所がご当地
REIT市場を作ることもアイデアである。
最も重要なことは名古屋の投資機関、投資家の育成である。いくら
ファンドを整備しても資金の出し手を、結局東京の余剰資金に頼る
ようでは元もこうもない。
かつての東海銀行の経営理念は、「地域経済のリスクを取り、その
収益を地域経済に還元する。」であった。地域のリスクを取りその
収益を地域で享受できる投資マネーの育成が必要である。
投資家がおり、彼らのニーズが顕在化すればすぐにも市場が整備で
きる。お金がないわけではない。名商はじめとした経済団体が音頭
を取りファンドの育成をするのも手だ。そしてこれらファンドに対
して金融機関、投資機関がエンゲージメントビジネスをする。
金融機関は制度に保護されリスクが取れない。不動産投資は多様な
リスクをとるニーズがある。このニーズに適したリスクマネー市場
があり、その市場で上質なアセットマネージメントが機能する。こ
れがこれからの地域経済の在り方ではないだろうか。
アダムスミスは「ビジネスは高度に分化して成長する」と説いてい
る。その背景には、高い収益があり、その収益を求めて高度に分化
したビジネスが参入する仕組みがあるのである。
以上
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