ニュースレター
主筆:川津昌作
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そう言った事を十分にご理解したうえで、ご参考にしていただきますようお願い申し上げます。
情報コンテンツの大量生産大量消費時代の消費行動
〈2025年1月25日〉
議論の要点
1.IT革命により情報供給の生産性が上がり、低コストで誰でもが
情報を生産し、供給できるようになった。それに情報・コンテン
ツの大量供給時代が始まった。同時に消費者の大量情報・コンテ
ンツの消費時代の始まりとなった。それは消費行動を大きく変え
た。その典型がタイパである。
2.大量・多様化する情報社会で、絶対的に正しい情報ではなく、
多様な人にとって適切な情報とは何かが問われるようになる。
3.民主主義も一つの真・偽ではなく多様な真・偽が存在するようになる。
年初から日経新聞経済教室で「SNSが変貌させる社会」と言うテ
ーマの論壇が設けられていた。しかし内容は、SNSは偽情報ばか
りで、これをどうやって排除するかと言う既存マスメディアの立場
に立った論調ばかり取り上げられている。
昨年の年末年始号で特集したテーマであるが、SNSを理解するに
は「情報コンテンツの大量生産大量消費」時代の始まりを理解する
必要がある。
IT革命がいつ始まったかは後世になって定義されることだが、仮
に2000年を定義すると、約25年の間にIT技術革命は、情報・
コンテンツの生産性を格段に発展させた。その結果大量の情報・コ
ンテンツが市場に供給させることになった。
従来であれば情報の生産は、マスメディア、ブロードキャストのよ
うな大資本による、大きなイシュタブリッシュの検閲システムを経
ることによって、限られた情報が社会に供給されてきた。大手新聞
社によるニュース、大資本のブロードキャストによるニュース配
信、共同新聞によるニュース配信がそれにあたる。
しかしIT技術の進化による、個人誰でもが、SNSで意見、思う
事、見たこと等、客観的事実も、主観的見解もさらには悪意を持っ
た犯罪的情報等をも、瞬時に作成して社会に低価格で大量拡散でき
るようになった。これが情報・コンテンツの大量生産時代である。
IT技術の進化は、それまで大資本で独占してきた特定の熟練労働
者による情報生産供給セクターの、非熟練労働化、低価格化、コモ
ディティー化を実現したのである。この流れに乗れない既存情報供
給者業者は市場から排除されることになろう。
セクシャルスキャンダル不祥事を起こすようなガバナンスのない放
送局などは、当然真っ先に市場に居る意味がなくなる。
この大量に供給される情報・コンテンツが消費されるプラットフォ
ームがSNSであり、ネット社会である。その消費スタイルの一つ
が「タイパ」である。
「タイパ」とは大量に供給される情報・コンテンツの「消費」の生
産性を上げる手法である。限られた短い時間で大量の情報・コンテ
ンツを消費する消費者の行動パターンの一つである。このタイパの
ような消費行動パターンが、様々なプラットフォームの進化を踏ま
えて、急拡大しているわけだ。
この新時代では、日経新聞の論壇にあるように、イシュタブリッシ
ュのマスメディアによる情報は「真」で、SNS上の情報は「偽」
であると言う絶対的「真・偽」判定基準が通用しなくなるだろう。
真VS偽の概念が変わる。そもそも真偽は歴史的時間経過が決める
ことで、社会による時間を経た結果の検証を必要とする。逆に消費
者が欲する情報は、真偽が明確でないがゆえに、それを我先に確か
めたいという欲求に基づき情報を欲しがる。
つまり真偽が明確になってしまった情報には関心(欲求)がなく、
不確定の事象に対する情報に関心(価値)を見出す。起きたばかり
の事象は、真偽が明確ではないため、それに対する情報も何をもっ
て偽であり、真であるかは誰もわからない。
一般個人は、ネット社会の中では、真偽を評価するだけの情報がな
い。従来なら情報を供給してきたイシュタブリッシュメントと一般
消費者間の情報の非対称性となるが、情報の供給者が大量に安易か
つバイアスに満ちた非常に多くのセクターとなる。
情報の真偽を判断する材料はない。そのためにだれか信頼のおける
機関にその判断をゆだね、それを聞いて判断する。この消費パター
ンが「インフルエンサー」と呼ばれるものである。一部の人気イン
フルエンサーには何万、何百万と言うフォロワーが群がる。
市場は進化が速い。あっという間にインフルエンサーと言う格付け
機関を作ってしまった。このような機関は進化するとやがて、パブ
リックな市場の情報の格付け機関ができるだろう。
この格付け機関により真偽のレベルが評価され、それのレベルを参
考に消費者は情報消費をすると言ったシステムが考えられる?この
格付け機関が将来のマスコミのあるべき姿かもしれない。
不動産関連の民法において2020年4月に非常に大きな改革があっ
た。民法上の「瑕疵」が「契約不適合」と言う司法概念に変わっ
た。民法の大変革が起きたのである。
それまでは、売買される不動産資産において「瑕疵」があると言う
司法上の争いになると、司法の権威によって当該不動産資産の瑕疵
の有り無し、瑕疵の程度を絶対評価してきた。つまり真偽を司法と
言う権威が判断していた。
しかし改正後は、真偽を司法が判断するのではなく、当該契約に適
合しているかどうかを判断するのが司法の役目となった。財物の真
偽を権威による判断をしなくなった。できなくなったと言う表現が
正しいだろう。
社会の価値観の多様化により真・偽そのもの価値評価が分かれる。
その結果、司法の判断もぶれかねない状況になってしまったのであ
る。司法による真偽を判断する心眼機能は、実質機能しなくなった
のである。
これからのネット社会においても、イシュタブリッシュメントの権
威による検閲がなされたブロードキャスト、大手新聞による情報の
真偽判ではなく、情報の消費者の多様な価値観に基づいて、何に適
しているか?適していないか?どの程度適しているか?を評価する
セクターインフラが市場ニーズになるのではないか?と考えられ
る。
そうなると、冒頭の論壇のような真だ、偽だと言う議論は意味がな
くなる。将来「このネット情報は、A評価機関によると広告適応係
数何%、犯罪係数何%、何々適応係数何%と言った評価係数こそが
市場ニーズになるのではないだろうか?
仮に従来通り、どこかの権威付けにより情報の真偽が判断されたと
しても、多くの情報消費者が認めなくなるだろう。しかし間違って
はいけない。権威によって情報の真偽評価をする時代がお泡ったわ
けではない。
今でも絶対君主制、独裁体制の組織では権威による真偽の評価がな
されている。宗教原理国家では原理による権威付けがなされてい
る。民主主義にも権威により評価された真偽を民が受け入れる民主
主義、あくまで民意によって権威付けられたものを権威が追認する
民主主義もある。
そんな中で、情報大量生産大量供給社会が権威、民意両者が新しい
真偽の概念を求め始めたと考えるべきだろう。その求める行為が新
しい市場ニーズとなるわけだ。民主主義の進化が問われているのか
もしれない。
以上
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