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主筆:川津昌作
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情報・コンテンツの大量消費時代で変わる消費者行動2

〈2025年2月1日〉

要約
1.情報・コンテンツの大量生産、大量消費時代に入り、情報・コンテンツを消 費する為の新しい空間スペースに対するニーズが高まってくる。その一つが都 心のカフェの人気である。

2.これから始まる日本の生産年齢人口の激減により、リアルな財物・サービス の供給に制限がかかり消費の制約となる。これに変わる情報コンテンツの大量 消費が消費市場の主役になる。

先般、日経MJ一面の記事記載のキャッチコピーで「都心のカフェパンク寸 前」とある。昨年末以来当ニュースレターでは情報・コンテンツの大量生産大 量消費時代の消費行動を議論している。

2000年以降の四半世紀にわたるIT革命は、情報・コンテンツの供給の生産性 を格段に向上させた。その結果、大量・低コストの情報・コンテンツの供給が 可能となった。

それと共に、消費者による情報・コンテンツの大消費時代が始まった。今回の 「都心のカフェパンク寸前」も情報・コンテンツの大量消費の一側面である。

新聞記事によると、今都心のカフェが非常に混んでいる。インバウンドの影響 もあるが、平日より週末休日の方が混む。時間帯によっては10名ほどが列を なして、席が空くのを待っているとのことである。カフェを求めて渡り歩くカ フェ難民の登場だろうか?

従来のカフェの概念で言えば、憩いもしくは人と人が接触してコミュニケーシ ョンが生まれ、その情報のマッチングから化学反応が生じ新しい何かが生まれ る。つまりマッチングの拠点であり、カフェの充実度がその都心のマッチング の密度の指標ともなっていた。

しかし最近は違ってきた。憩いの場、人との交流の場と言った従来の第三プレ イスではなく、使い方がネット上のSNSによる情報収集・コミュニケーション からリモートワークの仕事まで幅広く、あえて一言で言えば第二のワークスペ ースとなっているわけだ。

最近では、席の使用には時制限があり、カフェの空き状況、順番待ちのアプリ 迄登場しているようだ。少なくとも名古屋でも最近混んではいるが、アプリま では使ったことがない。

いつもの大体席が空いている馴染みのスタバがあり、スタバの使い方も休憩時 間の消費、友人との歓談のための時間消費、受験・資格ための勉強時間消費が 大半であった。確かに最近はパソコンでの仕事処理、勉強だけでなく、周りを はばからない通話会議もみられるようになってきた。

隣の席で、リアルな音声による会議もしくはコミュニケーションをされると、 一人で紙の論文を読んだりする身としては、集中力がかけてしまいいかがなも のかと思ってしまう。

こんなぐあいに、大量のSNSの処理時間消費、リモートワーク作業時間消費、 大量コンテンツ閲覧時間消費、インスタ映え時間消費の場所探しが、日経MJ の「都心のカフェパンク寸前」状態になってきたのである。

情報・コンテンツの大量消費時代の消費者行動のニーズとして、データ通信の 環境が整い、タイムリーに使えるスペースが都心で必要とされているわけだ。 その一方で同じく最近の日経新聞で「外食出店計画下振れ」と言う記事が登場 している。

建築費、賃料、人件費の高騰で出店がなかなか計画通りに進まない状況がある わけだ。このように情報・コンテンツの大量供給大量消費による新たな市場ニ ーズがある一方で、これに応えたスペースの供給制限もあるわけだ。

ただしこれは現状まだ東京の都心部の話である。いずれ時間おいて名古屋など の地方の都心部でも、新たなニーズとして登場してくることが予想できる。不 動産ビジネスとして重要ムーブメントだ。

店舗が抜けた後の空きテナントスペースは、一時的にでも転用が可能である。 都心部であれば空中店舗でも構わないだろう。目的がある以上タイパに適合す る範囲内であれば、地上だろうが、2階だろうが、空中だろうが問題ないはず だ。都心部の家電量販店の一部を カフェに転用してはどうだろうか?

大量情報・コンテンツの消費者サイドの問題としては、消費の為に要する時間 だけでなくスペースコストがかかるようになってきたわけだ。したがって時間 の生産性を上げるためのタイパが、益々重要になるわけだ。

新幹線の移動時間も、短くするか、搭乗中情報の消費が可能な環境になるかが 市場ニーズとなる。リニアの整備、既存新幹線の搭乗環境の再整備などが求め られる。

都心に必要とされる新しいインフラとして、大量情報時代に応えたネット環 境、テレワークスペース、SNS消費空間、様々なスタイルのユーティリティス ペースが求められ、オフィス内、自宅内にもテレワークスペースならぬ情報消 費スペースが求められる。

コンテンツ消費スペースとしては、自宅にすでにゲーム部屋が登場している。 たかがゲームではない。プレステをするには専用のゲーム部屋が必要になるく らいだ。住宅に新たにこのようなワークスペースにニーズが出てくるわけだ。

更にもっと大きなムーブメントが、消費者行動に大きな影響を与えようとして いる。それはこれから、世界で初めての現象である生産年齢人口の激減が日本 で起きることだ。昨年、当ニュースレターでも、2040年までに東京都庁の役人 が4-7割減ると言うリスクを想定していることを紹介した。

生産年齢人口の日本の推移における問題は次回以降のテーマで議論するとし て、概略を俯瞰すると、国内の生産年齢人口は1995年に8761万人をピーク に2030年には6800万人、2040年5900万人、2050年5200万人、2060年に は4700万人にまで減ると推計されている。(総務省データ)

1995年を100人とすると2030年は77人、2040年は67人、2050年59人、 2060年53人と激減する。今から25年後2050年には生産年齢人口が4割減 ることになる。

もちろん平均して減るわけではない。減るところ減らないところが出てくる。 この人口減を生産性向上で補わなくてならないが、おそらくリアル財物・サー ビスの非熟練労働の生産現場では人手が減ることになるだろう。

そうなると、リアル財物の供給制限が出てくる。特に輸入に頼れない生鮮食料 品、飲食店利用サービスがこれに当たるだろう。消費者行動もこれらリアル財 物の消費に制限がかかり、その分大量に供給され続ける情報・コンテンツが消 費の中心になってくるのではない だろうか?

情報・コンテンツで拡大する市場は何か?それがわかればビジネスの勝者にな れるが、例えばSNS上のソフト、ハード。アニメなどのエンタメ、そしてスポ ーツコンテンツ等々は当たり前に想定できる。スポーツはスポーツクジも含め た拡大された概念が実務化された市場に成長する。

以上

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