●相談10
賃貸マンションを経営しています。入居者の退去清算における原状回復費について最近退去者をトラブルになります。 法律相談に行ったら払う必要ないといわれたとか言って、結局難癖をつけて払おうとしません。何か方法はありませんか。
答え
不況の建設業界が、市場の需給関係を無視してマンションを作りつづける状況では、貸し手が必要以上に弱い立場に追いやられてしまいます。 そのような状況につけこみ、行儀の悪い賃借人を正当化する事は、かえってゴミの収集に対するマナー違反等の社会問題を大きくする原因になると考えます。
法人契約などで独身社員が2−3人継続貸しした部屋なんかは、 全改修しなくてはならない程ひどい使い方をされるのが普通です。 会社の総務担当者は現地を見ることもせず放置して、 請求書を見てから自社の弁護士に相談したら払わなくてもいいと言われた、なんて平気で言って来ます。
契約期間中、借主の責任使用に起因するメンテナンス費用・修繕費は借主の義務であり、借主費用負担で行います。
アメリカでは通常のメンテナンスをすることが当たり前であるからこそ日曜大工、 ホームセンターと言う業界が非常に大きく発展したぐらいです。 賃貸借契約の信頼関係には、日ごろから手を加えて大切に使うと言う、善良なる注意管理義務が大前提にあります。 日常のメンテ修理を一切せず、退去時になって原状回復義務なんてする必要が無い、なんていう理屈は通じません。 ましてや、メンテもせず、善良なる注意もせず、自己中心的な使用をしたにもかかわらず、壊れた物をなぜ修理する必要があるんだと言う理屈は常識外です。
いたんだら修理して使う。通常の掃除以外にも大掃除をする。汚れたら掃除して使う。破けたら直して使う。 これをせずに汚れが重なり、汚れが取れなくなる状態に放置したり、壁紙がはがれかけたのを修理せず使用し続けたため、結果的に張り替えなくてはいかなくった場合、善良なる管理者と言えますか。 どの様なメンテをしたにもかかわらず、毀損・劣化が生じたか説明できる入居人は多くはありません。なぜなら何もしてないからです。
自分の家ならどの様なメンテをしますか?壁紙が黄ばんだのは一般劣化だと平気で放置する人がいますか? テレビや冷蔵庫等家電製品の裏の壁が熱、静電気などでクロズミしないようにようじょうしませんか? 家具を置けば設置跡が残ります。自分の家では設置跡による傷がつかないように防護材をおいたりしませんか? あなたの家では壁紙が黄ばんだりしないようにカーテンをしたりしませんか? なぜ賃貸マンションではそれをしなくても一般劣化なのですか? カーテンをした善良な管理者かどうかを確認せずに、一般劣化と決めかかる方こそ善良な判断者とはいえません。 一般使用による汚れ・劣化とは、通常の清掃・メンテ・修繕が大前提です。 事前の方策を何もせず放置すれば、劣化する事が予見できるにもかかわらず何もしないこと、つまり無作為による劣化であり、それは一般劣化が予見できるにもかかわらず故意に対処をしなかった故意による悪質な劣化です。 通常自分の家ならする事前の方策をせずに劣化したのは明らかに確信犯です。メンテをせずに使えるのはホテルだけある。
悪質な不動産業者からの請求を退けたイレギラーなケースを持ち出して、原状回復義務なんておかしいと言う理由は通じません。 なんでも都合のいい事を主張すれば、得をするという風潮をあおることは返って優良な賃貸物件をなくすだけでしかありません。
壁紙に引っかき傷を作っておいて修繕もせずそのまま放置することが正しい使い方なのでしょうか? 壁紙がはがれてきたにもかかわらず放置したことにより破損したことに責任は無いのでしょうか? 悪意が無くても、一般的な使い方で物は壊れます。しかしそれをメンテせず放置することにより劣化したものは誰の責任でしょうか? この問題に、特別難しい法律の解釈が必要でしょうか?第3者の介入が必要でしょうか? 原状回復義務を認めたがらない賃貸人は、契約期間中いったいどれだけ修繕などの善良な管理をしたのでしょうか。 介入する第3者が一体どれ程現場を把握できているのでしょうか?
以下の文章はある自治体の消費者相談センターがホームページ上で掲載していた文章です。
※消費者へのアドバイス
・ 借家人には、借りた建物を原状に回復して返す義務(善良なる管理者としての注意を払って物を保管する義務 「民法第400条」)があるが、「原状に回復する」とは、借りたときとまったく同一の状態ではなく、通常の 使い方によって生じる汚れや消耗は、そのままの状態で返せば足りる とされている。
しかし、契約の際に、「新品にして退去するものとする」という特別の 約束がされているとこの約束が優先 されてしまうこともある。納得できな い場合は、少額訴訟制度という法的手段で解決する方法もある。
この考え方は善管注意義務の問題を原状回復義務の問題にすり替えているだけある。問題の汚れ消耗がどうして生じたか? それに対してどのような善管注意義務を行ったかを把握せず、原状回復義務の取り決めのあいまいさの不備だけを突いている。 例え明文化していなくても存在する貸し手と借り手の信頼関係の大前提となる、 どの様な「善良なる管理者としての注意を払って物を保管する義務」をしたかまったく問うてい無い。 賃借人の行動実態を知らないアドバイザーが、介入するとこのような本末転倒になってしまう。 何もメンテしない事がなぜ正当化されるのでしょうか? 日本の社会常識である、物をメンテナンスして大事に使う考え方の欠如は、このような本末転倒のアドバイザーから生まれてくる考えます。
最近マスコミが面白おかしく原状回復義務を面白おかしく取り上げ、 また行政も中途半端にガイドラインを指示し、ますますおかしな状況になっています。
賃貸マンション契約は、基本的に契約です。 どのように原状回復義務をするかは当事者同士の決め事であるはずです。 もちろん契約当事者間の信頼関係の範囲において。 当事者間の決め事に、公的なガイドラインを示されることは決して悪いことではないと考えますが、 しかし安易に賃借人の行儀の悪さを正当化するためのツールにされてしまっている現状を見る限り、公的ガイドラインの本来のガイドラインとしての中立性は機能していないといわざるを得ない。 しかし一方でそもそも、契約の自主性の原則を言いながら現実には当事者間同士の決め事がしっかり確立されていないところに、この問題の出発点があると考えます。
弊社では、善管注意義務による契約システムを採用しております。
必要な大家様にはコンサルタントをしております。
詳しくは弊社コンサルティング担当者まで。
●相談11
現在主人の仕事の関係でアメリカのロスに住んでいます。グリーンカードを取得して永住するつもりです。親から相続の土地にアパートを建てないかと地元名古屋の工務店か ら言われています。アパート収入は魅力がありますどの様に考えればいいのでしょう。
不況建築業者の強引な営業平成9年7月追記
アパート経営のリスク平成9年10月追記
大手不動産管理会社の経営破綻のニュース1998年3月追記
答え
ローリスクローリタンと言われる賃貸住宅経営には様々なメリットがあります。
1,老後の保障として。
2,不況に左右されない既存の所得へのリスクヘッジとして。
3,インフレヘッジとして。
4,経営ノウハウが比較的簡単。
5,社会的ステイタスとして。
現在の土地に対する税制の特徴の一つとして土地の保有に対する課税があります。アパート経営には様々な税務上の特典があります。住宅用地に対する固定資産税の軽減、相 続評価の軽減等。経営自体はその投下資本の規模から見て決して利回りの良い投資ではありませんが(高金利時には金利の方が上回ることはざらにあります)、以上のメリッ トを考えるといつの時代にも魅力がある事業です。
更に最近は企画、施工、管理、経営に関するいろんな専門企業があります。これらに良い巡り合わせがあると魅力が夢のよ うに出てくるでしょう。しかし失敗の例も非常にたくさんあります。不景気下の建設業界で仕事のない工務店に良いことだけ聞かされて無理矢理建築させられるケースがよく 見ます。地下鉄が計画されたから高い家賃が期待されると言われ建築したが、競合が激しく入居率が低く金利を払えなくなった例。管理会社との考え方の違いにより運営の失 敗(やくざが入居してしまった)。国の政策の変動により税務上の優遇が無くなり、収支が悪化してしまった。等々。 いずれも収支計画の甘さ、管理能力の甘さ、当該不動産の持っている力の甘さから来る失敗です。
話は古い話になりますが、かつての大家と店子の関係は店子で子供が産まれれば大家さんが名付け親になるくらいの信頼関係がありました。そこでは大家は店子の家族の生活 を公私に渡り心配し、そして大家は店子から尊敬される。つまり大家仕事というのは大変手間のかかる仕事です。私どもでは極端な話し親御さんからアパートを相続したサラ リーマンの方に換金を勧める事が良くあります。アパートを管理出来る余裕(時間的、能力的)が無く、いずれ権利関係或いは収支関係が明らかに取り返しが出来なくなる程 悪化すると予想されるケースです。
さてそこでアパートの企画、経営、管理のにはどの様な方法があるでしょうか。1,土地信託。これは信託銀行の名を想像されるでしょう。企業イメージからして失敗 のすくない事業です。土地の名義等をその期間信託受託会社に移行し収益を信託の配当として受ける方法です。信託会社の規模からリスクは少なく感じますが運用が赤字にな っても信託会社は補填をしてくれません。なお信託手数料は普通の管理費の別にかかります。結論から言えば信託を受けれる優良物件は他の方法でも成功します。建築費の借 り入れ債務は事業そのものがおいます。委託者ではありません。
2,土地等価交換方式。土地の一部を工務店に譲渡して共同で土地の上に建てた建物の一部(渡した土地に見合う分、例えば1階から3階部分)をもらいこれを賃貸する。又 賃貸管理を委託する。この方法は建築費が発生せず経営的には非常に楽な方法である。ただ土地の一部を譲渡する事になります。不景気では工務店、ゼネコンはなかなかこれ を受けません。
3,事業受託方式。企画、経営、管理の何処までを委託するのかによりいろんなケースがあります。工務店が収支案を作りこれで銀行からこれだけ建築費を借りなさいと言わ れ土地を担保に借り入れをして、建築し、入居者の募集も工務店の子会社の不動産会社に任せ、更に家賃管理もその不動産会社に任せ、管理費を差し引いたお金を振り込んで もらう方法は、企画と管理を委託して経営を自分でするケースです。このケースが現在一番多いでしょう。入居者との接触は管理会社任せですが、借り入れの管理、大規模修 繕その他収支に関する経営判断は自分ですることになります。そのリスクもリターンも自分の成果となります。当然収入においても法人形式にしたり、個人の税務上の配偶者 を専従者にしたりして税務対策をします。建築費の借入債務はあなたです。借り入れ債務者としての経営責任は、会社勤めをしながらの片手間にはなかなか難しいと思います 。借入金額の多寡、経営上の判断を他に委託できる環境等による経営責任のあり方により、アメリカなどの遠隔地でも経営できる場合もあれば、近くで見なくてはならないケ ースもあります。手持ち資金、自分の自由になる時間、自分の経営知識、物理的な居住地等により変わってきます。 当社でも管理業務の委託を受けるか受けないかは、経営者の環境を見て判断します。 更に事業受託方式に付随して家賃保証、一括借り上げ方式等があります。
不況建築業者の強引な営業平成9年7月追記
最近の建設業者等による賃貸アパート、マンションの建築の営業は異常な無責任を感じます。建築業界が、公共事業の削減などで、仕事が少ない事の補填として、あまりに安 易な収支計算によるアパートマンションの建築の営業があまりにも多く見られます。
ズバリ言いまして、新築 頭初はよほどの事がない限り満室になりますが特にワンルームマンションは10年を過ぎるととたんに競争力が無くなり空き室が急増します。バブルの頃のマンションがだい たい今築10年ですが、賃貸としての競争力がきわめて弱い物件ばかりです。(部屋の企画が10年ですでに陳腐化している。ワンルームはどうしても新しい、綺麗が売り物 になる等の理由により)併せて、当初の収支計算以上の修繕コスト、リーホームコストが後追いをしてきます。新築当初の5年、10年はその辺の主婦でも管理が出来るくら い手間もかかりません。例えば新築当初は入居者も質のいい人が入りますが、古くなれば競争力のないマンションは日本社会になじまない外人が入ったりして管理も大変です。 嫌気が差して、二束三文で先祖代々の物件を手放すことになるケースが最近よく見受けます。10年もすればはじめは良いことを言っていた管理会社も管理責任を棚に上げ早 々に手を引いてしまいます。サイドビジネスで経営しておられた方はますます管理という競争力を失い経営が悪化します。もちろん中には中古のマンションの管理を引き受けられ るまじめな業者もいます。しかし当然管理費は跳ね上がります。家賃の2割も係るところもあります。これは、やくざ、アジア系外国人等の混在したマンションの例です。私 どもでは2割りいただいても、正直管理は受けられません。
ワンルームマンションの建築を考えておられる方、日本の人口動向をご存じですか?2010年で現在の18歳人 口が半分になることをご存じですか。10年後には否応なしに需要が半分になります。10年以上のローンを組んでこんな極めて高いリスクをヘッジする他の税制等の効果が あるのでしょうか。特に中堅工務店で会社を渡り歩いている営業マンに注意して下さい。すばらしい口先で建築させて、2,3年後には他の会社にかわってしまう人たちがいま す。やたらビデオなどの小道具を持ち歩いて絶対精通した人たちの前には現れません。今やマンションはハイリスクローリタンかもしれません。ワンルームマンションは 供給過多です。
アパート経営のリスク平成9年10月追記
前回建築会社が強引な営業によって非常に甘い収支計画で建築を勧める危険性を紹介いたしましたが、今回は不動産管理会社のお話をしましょう。不動産業界も建築業界と同 じく構造的な不況に見舞われています。不動産会社はその形態により、
@土地の売買を専門にする会社
A土地の売買の仲介をする会社
B自社で不動産賃貸をする会社
C他社の 不動産賃貸物件の管理仲介をする会社
に分かれます。現在@については休眠状態、AについてはBとの併用で何とか経営が成り立つ状態にあります。Cについては、賃貸マン ション等の仲介と言うことで景気にあまり左右されず、むしろアパートマンションの数が増えている中で好調な経営にあります。そこで当然不動産管理業界への参入が非常に 多くなりました。この管理会社が増えたことが又、アパートマンション経営をやりやすい物にして、数が増えた要因にもなっています。@Aで経営が成り立たない大手全国区 の不動産会社もCの管理業に転換しています。又中小の不動産の流通チェーンでも傘下の不動産会社に管理業を指導しているのが現状です。当然にわか仕込みの管理会社が巷 に溢れているわけです。極端な話、建築設計士からアパートの建設を勧められ、運営管理もその設計士がするという物でした。特に管理専門の人が入ったわけでもないその会 社は、掃除、設備管理、賃貸業務すべて外注にして、設計士の奥さんが社長のにわかづくりの不動産管理会社でありました。極端なことを言えば、新築物件はこんな会社、素 人でも管理は可能です。新築当時は、入居も労せず満室になり、建築会社の営繕の面倒見もしっかりしてますから、これっと言った問題は生じません。しかしこういった海千 山千の管理業者は、何かトラブルがあると簡単にやめてしまいます。トラブルを抱えたマンションをその後いったいだれが管理してくれるのでしょうか。又最近管理会社の倒 産、代行集金した家賃の未払い等の心配が非常にささやかれています。家賃、管理費、更には敷金まで踏み倒される危険性があります。経営の根本響くリスクをはらんでいる と言えましょう。
アパートマンション経営について考慮すべき点
@現在アパートマンションは供給過多であること。しかし新築志向が高いため新築すれば満室にはなります。ただ20年30年それ以上の経営を考えて下さい。
A安易な家賃保証は危険。長期にわたり家賃保証できる有料物件は極まれです。それを安易に受ける事は大きなリスクが隠れていると考えるべきです。
B自分で管理ノウハウを身につけること。いざ、家賃保証、管理が途絶えても経営に支障が無い程度の管理ノウハウが無いような経営は危険すぎる。サラリーマンなどで、直接自分が管理できない場合は要注意です。
C管理会社の経営母体がしっかりしている事。長期にわたりおつき合いすることが可能かどうか。良い不動産業者に巡り会うのも縁です。
大手不動産管理会社の経営破綻のニュース1998年3月
全国で大手不動産管理会社の経営破綻のニュースが出始めています。最近はアパート、マンションの募集はテレビ広告などを利用した広域の斡旋、管理業社が主流になっています。当然管理物件も千戸単位の規模を有し、従業員も多く抱えて立派な企業として社会的地位も上がっています。 昔で言えば、小さな不動産管理会社がつぶれる事はあり得ませんでした。つぶれるようなリスクを負わないのが普通でした。しかし規模の効果を求め、シェアの奪い合いをして、経営が大きくなればそれだけ経営手腕のリスクが発生します。
最近関東の方で破綻している会社は管理物件の預かり家賃を大家さんに何ヶ月も送金できない状況にあると言われます。賃貸人との契約が管理会社になっている完全借り上げ、もしくは家賃保証の場合、一度問題が起きると大変な問題になります。貸し主の経営に大きく影響を与えることになります。 建築会社だけでなく、管理会社も競争、経営激化の状況にあり、それだけ無理な仕事の取り方をしている状況にあり、その被害はすべて安易な計画に乗った事業主と言うことになります。
今年になって確かにワンルームマンションの建築は減ってきたようですが、それでも増え続けています。又一方で今度はファミリータイプ(2−3DK)が急に増えているようです。 ファミリータイプはご存じのように分譲マンションが日本全国供給過多にあり、国家的第二第三の不良資産になる可能性があるくらいです。
賃貸マンション経営に明日はあるのか。
なんと言っても賃貸マンションの需要は無くなりません。市場にマッチした物件は非常に魅力有る物件ということになります。
リスク回避の安心の賃貸経営のポイントは、
@供給過多の中で競争に打ち勝つだけの魅力、商品差別があるかどうか。
A他人任せではなく自分に経営能力があるか。
B余裕のある財務内容。
C良きパートナーに恵まれること。
D計画は短期でなく長期で。何度も言いますが新築は満室になって当たり前、問題は5年後、10年後です。 まず原則は、他人の収支表を鵜呑みにするのではなく、自分で作れることです。 入居してもらいたい人の需要予測建てられますか。
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