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2000年名古屋駅前にJR東海のセントラルタワーズ がオープンしました。 名古屋の既存のビジネスモデルにとらわれることなく、 JR東海という新興の企業が名古屋に与えたインパクトは非常に大きなものであった。 国鉄が民営化されJRが上場されてから10年以上が経った。
非常に大きな債務負担を国民が負いながらも新しい企業として地域に貢献をし始めた。 特に名古屋の場合は、名古屋駅前の特性から行って非常に大きなインパクトを与えたといえる。JR東海のセントラルタワーズは名古屋の先端の高収益企業を集めることによって名古屋駅前というエリアを一変させた。 新しいビジネスエリアを提供した点において非常に貢献したといえる。
JRの主要駅の駅舎を高層ビルに建て替える事によって、そのエリアの中核となる企業戦略である。 そしてそれはその後の札幌駅、横浜駅、東京丸の内、八重洲口、京都等の計画にも大きな影響を与えた。 「新・近・大」のコアとなる器である。名古屋で生まれた新しいビジネスモデルともいえる。
そして2004年には早くも、セントラルタワーズに入っているジェイアール名古屋高島屋が、 2000年開業以来の累積損失を解消した。当初20年で累積解消の予定が開業してわずか4年足らずの間に解消するという極めて好調な業績を実現した。 名古屋駅前がきわめて高収益なエリアに変貌した証明でもある。
東京一極集中が言われる中、名古屋は確かな経済基盤に支えられて、新しい都市のあり方を探り始めている。 名古屋の経済基盤の動向はトヨタ自動車グループの好業績に象徴される。 いまや愛知県、東海地方だけでなく、日本全国或いは世界全国からトヨタ自動車とのビジネスリレーションシップを求めて、この地に参入してくる。 2004年森精機が名古屋駅前の本社を移転してきた。交通アクセスの利便性、トヨタとの仕事の関係をその理由としている。 また特に、新幹線で東京圏内へに移動が2時間をきるようになり、 主要駅に近いエリアでのビジネス拠点が注目を浴びる様になっている中で、 名古屋駅前のビジネスエリアとしてのポジショニングがますます注目を浴びるようになってきている。
現在、全国一律に営業所などの経営資源を配置する時代が終わり、効率よく配分する事が求められている。 収益のようところが東京であり、本社機能などのリストラの対象となっているのが大阪等の大都市である。 そして効率的な経営資源配分を可能にしたのが、IT技術である。コールセンターによりカスタマーリレーションシップを従来以上に機能的にした。 今、地方の中核都市がその存在意義を改めて見直しを求められている。 東海地方の中核である名古屋の都市としてのフロントである名古屋駅前エリアの動向は一名古屋の問題ではなく、日本の全体の中で注目されるところとなっている。
名古屋駅前は大名古屋ビル、名古屋ビル、毎日ビル、豊田ビル、名鉄百貨店等、 今の形態が出来てからすでに30年40年と経っている。 中には耐震構造上問題のある建物もある。 名古屋駅前のビックプロジェクトは、これらに市場原理を持ち込む良い機会であった。 古くて使い勝手が悪いビル施設は淘汰され、再開発されるべきである。 それこそ地域の活性化である。
JRに続いて、名鉄を中心にした地元財界連合の牛島再開発 (2007年)、 トヨタと毎日新聞による豊田毎日ビル(名駅四丁目共同ビル) (2006年末まで)等が急ピッチで工事が進んでいる。変革しているのはビジネス施設だけではない。名古屋駅の北に位置する 世界に冠たるノリタケチャイナの本社が、ファクトリーパーク ノリタケの森に変貌している。 その北隣、栄生(さこう)に、産業技術記念館が出来ている。 名古屋駅前エリアに隣接する栄生にはノリタケの本社工場だけでなく、戦前戦後を通じて豊田自動織機栄生工場があった。 この栄生工場はその後のトヨタグループの隆盛の根源の財をなした自動織機をトヨタグループの創始者豊田佐吉が生産し始めたところである。 当時、佐吉翁に連れられた「今日はエー坊が遊びに来とるは」と地元で親しまれたのは、後のトヨタ自動車の中興の祖とも言われる豊田英二氏である。 この豊田英二氏が、豊田佐吉翁の子であり自分を自動車造りに導きいれた豊田喜一郎の生誕100年を記念して、 この地をものづくり技術のミュージアムである産業技術記念館として再生したのである。 トヨタのものづくりの革新を果たしたメモリアルの地に隣接した名古屋駅前に、今、トヨタが再び大きなビジョンを持って楔をうとうとしている。
名古屋都心のの国鉄跡地として長く温存し続けた笹島国鉄跡地利用プロジェクト(右下写真は名古屋駅より南を見た。正面高架道路の手前に草むらになっているエリア)がついに動き出す。 大阪、東京、そして中部国際新空港等に直接アクセスできる用地としてその可能性が以前から期待されていた。 当面2005年愛知万博のサテライト開場として使われる。この万博のために整備される道路などの社会基盤整備によりJICA国際協力機構のJICA中部国際センターが2006年に着工の計画をしている。 その他万博のサテライト利用後にはサテライトに使用したシネッマコンプレックス等施設の一部がそのまま残り利用される。交通要所の地の利を生かして国際交流の拠点としての再開発がいよいよ動き出した。
名古屋駅前という交通の拠点に何百億円、何千億円という民間投資が同時期に集中してなされる機会は、 前後百年の間に何回もあるものではない。 名古屋にとって非常に大きなビックチャンスといえるのではなかろうか。
毎日ビルと豊田ビルの再開発(右写真は在りし豊田毎日ビル)はバブル経済当時から何度から構想が上がっていた。神戸大震災後は全国で耐震基準が見直され、豊田ビル、毎日ビルなども神戸級の地震に対してその耐震性が指摘されていた。 毎日ビルは駅前に一等地にありながら、輪転機を回して新聞を刷っていた。 錦通りにある近鉄が所有する名古屋都ホテルの廃業、 売却計画が持ち上がり、これをトヨタグループが購入して 今まで豊田ビルに入っていた豊田通商が近鉄系列の都ホテルが撤退した跡に移転先したことを受け、 一気に毎日ビルトヨタビルの再開発が進むことになった。 地図トヨタ自動車は東区泉に名古屋の拠点を持っているが、一気に名古屋駅前に トヨタ村が出現することになる。 トヨタが新しく名古屋駅前に提供するビジネスモデルは世界的な情報発信ともなりうる。
トヨタはこの新しい高層ビルをトヨタ自動車の営業部門と国際部門で使用する方針を打ち出している。 中部国際新空港の人材もトヨタが輩出しており、空港と名古屋駅前の国際部門をコラボレーとしたビジョンを打ち出していることになる。
2003年−2007年開業予定。
[主な用途] 事務所、商業施設、駐車場
[その他の施設]シネマコンプレックス、ヘリポート
[階数高さ] 高層棟 地上40階 高さ約240m
低層棟 地上 8階 高さ約50m
地下6階
[事業面積] 約11,600平米
[床面積] 約190,000平米
[駐車台数] 約550台
トヨタは東京でも六本木の防衛庁跡地の再開発にJVとして名乗りをあげている。 名古屋のサッポロビール名古屋工場跡地の再開発にも森ビルと参加を表明していた。 エリア開発にトヨタが非常に積極的である姿勢がうかがえる。
毎日ビル豊田ビルに入っていた非トヨタ系企業は工事に伴う立ち退きと同時に帰る場所を失うことになる。 2001年現在既にこれらの企業が、周辺三井ビル、大名古屋ビルヂングに移動をした。 その後順次三井ビルの再開発、名古屋ビルの再開発に伴いそれぞれのテナント事務所が他へ転を繰り返している。 玉突き現象で再開発できるビルから順番に建て替えが行われている。
牛島再開発計画
[敷地面積] 約14,000平米
[主要用途] オフィス、変電所、駐車場
[階 数] 地上40階、地下3階
[最高高さ] 約180m
[床面積] 約137,300平米
[駐車台数] 約410台
[工事期間] 2001年5月−2007年9月
開発目標
都心ビジネス拠点の形成
安定した電力供給ネットワーク形成と拠点施設の整備
牛島市街地再開発組合
名古屋鉄道 中部電力 トヨタ自動車 住友生命保険 大成建設 個人1名
JR東海名古屋駅北約400mの角地に位置し、 完成されれば中央郵便局をはさんで隣接することになる。総事業費約650億円。 地権者は名鉄、中部電力、、 トヨタ自動車、住友生命、大成建設その他。
JR東海のセントラルタワーズ(JR東海ツインタワー240m)に次ぐビッグな民間再開発となる。
地元財界を代表する中部電力、名鉄などが参加する事業であり、 新興のJR東海と地元財界のビルが合い並ぶ事になる。
名古屋駅前には松坂屋駅前店に北隣接して旧名古屋中央郵便局(2ha)がある。 2001年現在名古屋中央郵便局がその機能の大部分を西区の天神山に移行した。 当然このエリアの今後の跡地利用も大きな期待が寄せられる。 今後の郵貯の民営化の動向と併せて目がはずせれない。 下の写真は牛島再開発から南に位置する旧中央郵便局その向こうにJR東海のツインタワーが見える。。 郵政民営化に伴い郵便局の賃貸事業への参加が政治的意思決定がなされている。国鉄民営化によってセントラルタワーズが出来たように、 百貨店などの誘致がなされれば、名古屋駅のフロントが一気に北側に移動する事もありうる非常に大きな可能性を持ったポイントである。 上の写真では、現在牛島開発ビルへの名古屋駅からの地下道を建設中のクレーンの奥に位置する建物が、旧郵便局である。 名古屋駅北部エリアは牛島再開発、この郵便局跡地が再開発されると名古屋駅前のフロントを変えてしまうほどのインパクトがある。 この北部エリアには更に北東部に名古屋市の那古野市バス操車場跡地がある。またこのあたりには従来からの下町があり、現在飲食店エリアに変貌しつつある。 名古屋駅前エリアの飲食アメニティーを供給するエリアとなりつつある。これらの要素がうまくコラボレート(地下街などでつながると)すると、名古屋駅前はおそらく将来北方向にその重心を移す可能性がある。 名古屋駅から、郵便局跡地、牛島開発ビルが並ぶ道路はそのまま北進すると、愛知県尾張地方、岐阜県への国道へ接続される。つまり東海地方西部の玄関口になる。
名古屋駅前ビジネスエリアの特徴は、東京にヘッドコアを置く例えば三菱、三井等広域企業の名古屋支店に占められている。 名古屋資本ではない。 栄エリアが名古屋地元財界資本による資産が集中している事から比べると明らかに違った文化特徴を持っている。 そしてこれらの企業グループが固まって資産を保有している。 名古屋駅前エリア内の企業群としては名駅4丁目の豊田毎日ビルの再開発を中心にしてトヨタグループの東和不動産によるトヨタ村、
名駅3丁目の三菱地所・三菱倉庫の三菱村(2001年大名古屋ビルヂング北隣の第一ホテルの経営権を第一ホテルから三菱地所が買い戻し、 三菱系列のロイヤルパークホテルとしてリニューアルオープン。)がある。右写真は名古屋駅前正面に位置する三菱地所の大名古屋ビルである。 堅固すぎて一時期は携帯電話すら入らないといわれた名古屋駅前に鎮座したビルである。 最近耐震補強を行ったばかりで、現在のところ再開発の計画はないが、東京の丸の内の再開発が一段落すれば次は名古屋という期待もされている。 その一方で、三菱地所のような大手デベロッパーは、減損会計等の会計基準の変更を受けて、何でもかんでも保有一辺倒と言う考えが変ってきている。 保有する資産とオフバランスする資産を選別をしており、大名古屋ビルに隣接しているパークホテルの利用も含めてまだはっきりした戦略が見えてこない。 名古屋駅のフロントが一番遅れる可能性もある。
名古屋駅前エリアの南部、笹島には三井ビルディング群に三井村がある。 名古屋駅前エリアの南部も目がはなせられない。 三井ビル南、東館の再開発が2008年完成予定。地上36階立ての高層ビルになる。 地上部文すべてが名古屋モード学園が入居の予定。 名古屋駅前が専門学校という新しい教育産業のビジネスモデルの拠点ともなりえる可能性を示すことになる。 名古屋駅前エリアがビジネスマンだけでなくビジネスの直結するきわめて職場に近い学生が回遊するエリアとなる。 一時期、東京の丸の内などがビジネスマンしかも高齢の管理職だけの街になり、 世代間の交流のない偏ったエリアになってしまった事が魅力のない街にしてしまったといわれたことがある。 その名古屋駅前の魅力を増すものともなりうる。
更にこの南部のエリアには白川ビル群がある。 白川ビルとは破綻した旧都築紡績の不動産運用部門である。この白川ビルが外資であるモルガンスタンレーに買収されている。 外資がこのまま保有するはずがない事は誰にでも予想される。 新しく再開発してバリュアップしてくるか、もしくは再開発するといって吊り上げといて売り抜ける可能性もある。 これも外資の戦略である。
桜通り沿いエリアの老朽化しつつある名古屋ビル(写真ではHITACHIの看板のビル、大名古屋ビルの正面)が新しい22階建てのビルに建て直す予定である (2006年取り壊し開始予定)さくらっ通りエリアには埼玉ビル、地元資本の堀内ビル群・大東海ビル等の大型のビルがある。 これらのビルがかなり古い施設となりつつある。従来の地主だけではこれらのビルを再開する事はリスクがありすぎる。 しかし最近のリスク分散のファイナンスの手法などを使えば新しい解決手法も見出せるのではなかろうか。
名古屋駅前エリアを語るのに名鉄百貨店グループを抜きには語れない。 三井ビルと名鉄と近鉄ビルは広井線道路を挟んで名古屋駅北部の重要な構成要素である。 以前構想として道路を2階建てにして名鉄、豊田、三井ビルをデッキでつなぐ話が浮上していた。 しかし電鉄の企業体質として、早急な進展はなさそうである。
名古屋駅前という一つのエリア内でのこのような企業群の競争は、結果的にエリアの活性化を将来に向かって確かなものとしよう。 それは広小路、伏見と言った銀行, ゼネコン企業が集中しているオールドエコノミーエリアとの ビジネスエリア格差を益々大きくするかもしれない。 広小路・伏見のビジネスエリアは現在UFJ銀行の地盤沈下に象徴されるエリアである。人・物・資金を吸収する力を持っていない。 むしろ人的経営資源が流出している。 ある意味停滞したエリアの存在が栄エリアと名古屋駅前エリアをより明確に分断する機能となりつつある。 栄エリアと差別化する意味で名古屋駅前エリアにとっては追い風となろう。
つまり従来名古屋駅前エリアにはビジネスのアフターファイブサービス、或いは商業施設のエリアが無かった。 これに対して栄エリアのデパート、錦三丁目などの歓楽街がこれら機能の補完をしていた。 市場の明確な分離による名古屋駅前アリア内での、これらのサービスに対するニーズの顕在化は、 新しいビジネスチャンスの創造、そして市場の成長につながる。 市場の新しいニーズに新しい技術で応えることによって始めて市場は成長する。 右上写真は名古屋駅前のビジネスマンが昼食を求めて回遊する名駅二丁目界隈。 名古屋駅前のJR高島屋百貨店の業績が、創業開始3年で単年度業績黒字、 その後遅滞なく累積損解消と言う最近の百貨店店舗にない好調を呈しているのも、まさにその表れと考えることができる。 名古屋駅前エリアで一番ダイナミックに変動している市場は、オフィス市場よりリテール・飲食市場ともいえる。
2004年10月に名古屋では栄を起点とした地下鉄名城線の環状化が完成した。 これにより栄エリアの市場がより明確になる。 このエリアの特徴は名古屋駅がこの環状線エリアに入っていないことにある。 この環状線エリアとが拮抗しながら共存する形態が予想される。 栄を起点として環状線エリアから東部エリアを商圏とする東部商業エリアと、 名古屋駅を起点として三重県、愛知県尾張、岐阜県の中核都市をも包含する西部商圏である。 仮に交通アクセスから、この二つの商圏の規模を次のように想定してみよう。
商圏西部 約360万人
岐阜市、四日市市、桑名市市、鈴鹿市、津市、大垣市、愛知県尾張エリア、名古屋市南西部(名古屋市1/4)東三河知多(1/2)
商圏東部 約410万人
名古屋市隣接東部、西三河、名古屋市中東部(名古屋市3/4)、東三河知多(1/2)
これらの商圏規模の受け皿になっているのが、商圏東部であれば栄エリアの松坂屋、三越、丸栄、パルコ、その他の商業施設リテール である。これに対して商圏西部では名古屋駅前の高島屋、名鉄、近鉄その他の地方のリテールである。
商圏西部の受け皿となる名古屋駅エリアの百貨店の2004年上期(3−8月)売上
松坂屋名古屋駅店 62億円
JR高島屋 406億円
名鉄百貨店 335億円
合計 803億円
商圏東部の受け皿となる栄エリアの百貨店の2004年上期(3−8月)売上
松坂屋名古屋本店 658億円
三越(栄、星が丘) 502億円
丸栄 198億円
合計 1358億円
非常に乱暴な見方ではあるが、双方の百貨店群の期間売上高を想定 人口で割った一人当たりの期間売上は商圏西部が2万2305円、 商圏東部が3万3121円である。都市部と周辺部との所得格差を 考慮しても、明らかに西部の商圏の人たちが他で購入している状況 にあり、まだこれらの消費購買層を取り込み売上を伸ばすことができる余地がある。 高島屋一社が売上を伸ばしている状況が説明でき、栄より名古屋駅 前にビジネスチャンスを求めて集まるリテール(ビックカメラ、ド ラックストアー)のトレンドが裏付けられる数字でもある。西部が 東部の商圏と明確に分離すればするほど、従来東部の商圏にあり、 西部の商圏に無かった飲食店街、大型リテールに対する需要がいっ そう強く名古屋駅前に生じてくる事が予想できる。 単純に高島屋クラス(300−400億円)の商業施設がもう一つあったほうが、名古屋駅前エリア内の競争原理から言えば収まりが良い。 高島屋百貨店一社の一人勝ちは競争原理から言えば、あまり良くはない。 郵便局跡地などに商業施設が出来ると名古屋駅前のフロントは一変する。 東京からこられた方々の意見を聞くと、東京での伊勢丹などの立地はむしろ、現在の豊田毎日ビル再開発の東側の多少ごちゃごちゃしたところが良く似ているといわれる。 そのように見ればまだ進出の余地はいくらでもある。 次のステップとして、名古屋の西部方面の環状線の構想が登場して も面白い。名古屋駅を中心とした商圏を明確にする環状線があって も良いはずである。 栄−金山−(港区)−高畑−中村公園−本陣−(栄生)−浄心−名城公園−栄 この商圏の環状線が栄で重なり合うところが非常に面白い。
右写真ではJRツインタワーが背景にそびえる。 ちょうど桜通、毎日トヨタビルに囲まれた名駅4丁目に 愛知県中小企業センタービルがある。その背中合わせに中経ビルがある。桜通、毎日トヨタビルに囲まれたこのビルの位置関係はちょうど、 栄の大津通、丸栄などに囲まれた、名古屋市が再開発した ナディアパークによく似た立地をしている。 ナディアパークは路線面での賑わいしかなかった栄を面で再活性したところに大きな評価を得ている。
この愛知県中小企業センタービルの建て直しは、愛知県の事業計画に何度か上がっていたのですが、 愛知県の財政難により1999年の6月の補正予算からはずされ実質棚上げになってしまった。
2004年の愛知県の産業創造計画の中で新しい計画(PFI方式)が出された。左写真では建設中の豊田毎日再開発ビルの奥(東)に位置する。 国際ビジネスの支援機能をを集約した新産業センターの建設(2006年解体2009年供用開始)である。 トヨタ自動車の国際部門が名古屋駅前に集中する事、中部新国際空港のアクセス鉄道が名古屋駅に直接乗り入れること等を受けて描かれた計画である。 名古屋駅前の新しいビジネスをサポートするインキュベータ施設となれば名古屋駅前のビジネスエリアの機能を高めることなり、大いに期待される。
終身雇用制が成り立たなくなろうとしている。終身雇用制の元では、社員は会社の研修、教育に身を任せておけばよかった。 むしろそれ以上のスキルを期待する者は横並びを崩す異端視扱いされた。 しかし会社の言うなりを聞いていても、雇用が保証されなくなりだした。その中で、人材市場の中で競走に打ち勝ち、競争優位あるビジネススキルを身につける必要がでてきた。 そのスキルが資格であり、社会人大学院のMBA等である。一方大学のほうもより早く社会人市場にアクセスしようと、都心に其の関心を向け始めている。 東京でもビジネスエリアの再生に知識クラスターの核となる大学院の誘致は、再生の正否を左右するくらいの重要な要素となっている。 新しいビジネスチャンスが新しい器を必要としているのである。
ナディアパークが栄3丁目を面で地域の活性化を勧めた起爆剤になったように、 毎日ビル・豊田ビルの再開発と同じくして、広くビジネスをサポートする行政の拠点として開発し、 ビジネスをコンセプトにした人の流れが出来れば、名駅4丁目の面での活性化が可能ともなる。 エリアコンセプトはもちろん「ビジネス」である。 しかし栄では集客力ある商業店舗を誘致すればよかったが、今回は施設の用意だけでなくコンテンツを用意しなくてはならない。 行政が民間のビジネス新興にどれ程かかわれるか大きな試金石ともなろう。 今、名古屋の経済がダイナミックに変わろうとしています。特に行政の政策がビジネスチャンスを逃さないように期待したい。 「新しいビジネスは新しい器を求めます。」これが私どもの持論です。
いまや名古屋は東京まで1時間30分の時代である。 日帰りではなく今や半日の出張である。 東京がビジネスエリアを品川に移動させたことも、名古屋に少なからずいろんな影響をもたらしている。 品川、丸の内に出来る新たなリテール機能に、名古屋の商圏が取り込まれてしまう可能性がある。 出張の帰りに東京でショッピングを済ましてしまうビジネスマンも多い。 名古屋駅前エリアは、名古屋の地元より広域企業が多く存在するエリアである。 当然名古屋の地元より名古屋以外の外部との相性も良い。 栄エリアとの競争だけでなく、東京のこれらのエリアとの商圏の奪い合い競争も視野に入れる必要がある。
このほかにも中部新国際空港等のプロジェクトが名古屋駅エリアに大きな影響をあたえる。
雑感
最近の東京駅前などの再開発ビルを見てみると、大きな百貨店、或いはホテルだけのシングルアセットは殆んどない。 殆んどが混在ビルである。強大な雑居ビルである。今風に言えばコンビニビルである。 東京駅丸の内側に出来た新丸ビル、丸の内オアゾなどはまさに巨大なコンビニストアーを拡張したコンビにビルである。 収益を確保できるマーケティングを考えるとああならざるを得ないのだろう。都市にコンビニ機能が必要なのだろう。 スナック、テークアウトの食材、文具、本、雑貨、化粧品、ATM機これらをコンパクトにパッケージしたものが「コンビニ」である。 これらで購入されるものはすべて、その職場で消費されるものである。ここで買った食材を家に持ち帰ることはありえない。 家に持ち帰る時は家の近所で購入するパターンがあるようである。
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